無影

ウルトラマンメビウスの無影のレビュー・感想・評価

ウルトラマンメビウス(2006年製作のドラマ)
3.6
単品のウルトラマンドラマとしても、ウルトラ兄弟シリーズの集大成としても、日本有数のSFシリーズとしても、どの要素もハイクオリティで、とても満足でした。
まずはお話。「希望」とか「光」とか「友情」とか、口にすると歯が浮くような臭いセリフを真っ直ぐに浴びせてくれて、日頃忘れがちな理想や正義を思い出させてくれるのがウルトラマンシリーズの良いところだと思うのですが、本作はそれであふれていて、ヒーローに憧れていた子どもの頃を思い出しました。地球に赴任したばかりのルーキーのメビウスと、25年間怪獣が出現せずに事実上形骸化していた防衛隊のメンバーが共に絆を深めながら成長していく縦軸も良かったです。また、人類と宇宙人の融和や衝突を通じて、現実にある国家・人種間の対立や、恐怖や利己心により光を見失ってしまう人間の弱さをこれでもかと描いていて、深みもありました(だからこその最終三部作のカタルシスもありましたね)。長谷川さんと太田さんの担当回になると途端にネクサスっぽくなるのも面白かったです笑。市民とウルトラマンの関係性も丁寧に描かれていて良かったです。
次に、ウルトラ兄弟の集大成という「レジェンドもの」としても理想的な形でした。怪獣たちに苦戦するメビウスにレジェンドたちが教えを説きながら、それぞれの最終回のその後の姿や生き様も見せる。最高でした。
また、SFとしても質が高かったです。装備や戦闘機が全部格好良いし、ウルトラマンもあくまで人類とディスコンタクトな宇宙人として観測される存在に過ぎないというのも現実味がありました。
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