このレビューはネタバレを含みます
こういう作劇って連ドラでアリなんだ!と思った。スリリングでヒキがある展開じゃないし、情熱的な人間関係があるわけでもない素朴な面白さで勝負しててすごい。新鮮。お話が春から夏にかけての季節だけで完結するのもいい。
0年代の自分ガキだったので、この辺の時期のドラマにかえってすごく新鮮味がある。「彼女が死んじゃった。」も登場人物の内面を素朴で丁寧な作りで表現してて、同系統の驚きがあった。
4話が出色の面白さだと思った。桑野と夏美さんの淡い心のやりとりが随所にあるのが特にいい。
大体のキャラクターの性格が掴めてきたあたりで、桑野の夏美さんを思う気持ちを描くのも、それとなくこの2人のラブストーリーだという確信を視聴者に持たせててナイスだなと思うし、「桑野がうんちく垂れすぎてバスガイドさんが号泣し、それに対して夏美さんがブチ切れる」というくだりがもうこの2人の全てを表していて笑った。ハトバス乗りたくなった笑。
11話にしてやっとメインの恋愛が動き出し、人間関係が微妙にごたつく「ドラマ」が始まるのだが、それまでコンビニやらレンタルビデオ屋やら金田更新してるやら、小さい縦軸が数本あって淡い感情のやりとりと、桑野(と夏美さんとみちるちゃん。この女子2人もなかなかエキセントリック)の面白さだけでやってきていたことに気づいてビビってしまった。
12話に「一人手巻き寿司」という一番の桑野面白行動を持ってきたのも最高だし、11話にして英治君の魅力が爆発する(後輩にしたい有名人ランキング1位か君は?)のもたまらなくタイミングが良くて、ラスト夏美さんとくっつくまでのヒリヒリムズムズする心のやりとりに入る前に安心できました。桑野と夏美さん、元祖むずキュン。なんで別れたん?2人が別れるの嫌だから「まだ」は観ないとこうかなと思いつつダラダラ観てる。
英治君魅力爆発にしても「桑野さん可愛いところある」発言などから唐突じゃない印象だし、桑野と夏美さんの淡い恋のやりとりはずっとあるからラストがドラマになっちゃってもすんなり行くしで、ディテールの積み重ねのドラマだな〜いいな〜こういうの今ももっとやってほしいし、売れてほしい。最近だと大豆田が割とそういう感じだったと思うけど。