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タイガー&ドラゴンのiiのレビュー・感想・評価

タイガー&ドラゴン(2005年製作のドラマ)
5.0
宮藤官九郎脚本の登場人物はバカがバカでかっこいいがカッコいいで、男は男で女はマンガで見るTHE女で良い。こんなやつらどこにもいないんだけど、人情ドラマとしてなせるのはいかにデフォルメ、誇張したところで、小津安二郎が描いたような日本古来の家族のかたちがそこにあるからだと思う。長瀬、岡田准一はかっこよすぎて、阿部サダヲは全力でバカで西田敏行、鶴瓶は可愛くて伊藤美咲はさらに可愛くて完璧なのだ。
オープニング担当毎回変わっての口上たててのタイトルバックからのジャーーンとテーマ曲かかるの最高だし、売れる前夜の春風亭昇太、星野源、浅利陽介、荒川良々、河本準一ら面々が出ているのも先物買いで素晴らしい。宮藤官九郎のドラマはキャスティングもすごい。ゆとりですがなにかで吉岡里帆もいち早くだしてたし。
あとドラマ内でのキャラやブランド展開が、ありそうで絶妙で好き。今作ではドラゴンソーダとかデスキヨシとか。登場人物の名前もどん兵衛とかうどんとかチビTとかいいなぁ。
タイガー(小虎)とドラゴン(小竜)ってのもいいし、ずっと家出してた小竜が家族団欒の象徴である炬燵とダブルミーニングなのか?のもいい。
落語を現代に合わせてオマージュしているのがいいし、あまり上手くかかってなかっても、落語が面白いし、原題をしってから創作していく過程が描かれるし、どこでサゲるか楽しみだし3度美味しい。

以下ネタバレ含みます。

第五話の厩火事(古田新太&清水ミチコの難波夫婦漫才師の話)と最終話の子は鎹(結局捕まった小虎がまた落語を始めるのか?)がおすすめ、号泣した。
落語では第四話の権助提灯(鶴瓶演じるヤクザの組長と西田敏行演じる落語家の師匠が昔の恋人に…)、第六話の明烏(女性経験のない春風亭昇太演じるドン吉が騙されて熱海の合コンに連れられて)、第九話の粗忽長屋(元子分が敵対する暴力団に殺されそうになっているのを長瀬智也演じる小虎は救うが…)がおすすめです。

落語知ってても楽しめるし、これみてから落語見ても楽しめるし大満足の一本。
第一話で小竜の小話から(街で見たプロレスラーにナンにサインを書いてもらった)始まり、最終話で子虎がナンで子は鎹をサゲるというドラマ全体が一本の落語のような構成となっており、ひょんなことからヤクザから落語家に転身した小虎と、落語家からドロップアウトして自由を求めたがそれでも落語への思いが断ち切れない小竜が上下で展開する壮大な落語抒情詩であった。
まぁ、そんな大それたもんでもないのに大それた感じで書いてしまうんだからしょうがねぇなぁ
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