ねまる

新選組!のねまるのレビュー・感想・評価

新選組!(2004年製作のドラマ)
4.4
正義も悪も無い時代。
各々が、自分が信じる未来のため、
命をかけて争った。
何が正しかったのか、今になっても分からない。
勝ったものが正義ではないと、痛感させられる物語だ。

大河ドラマ50話は、語り尽くせないので、
今回はキャラクターに絞る。
幕末モノはあまたあれど、新選組だけで50時間観たのは初めてだ。
三谷幸喜、映画のノリは好きじゃないのに、これは重い史実と軽い笑いのバランスが良くて、次の次の大河も観ようと思った。

近藤勇as香取慎吾
真っ直ぐ全力ピュア男。闇を知ろうとするのではなく、ただ1つの光を信じて走る。
だから人がついて来るし、周りの人が影になる。罪な男よ。
どんなに立派になっても変わらない仲間想いな純粋さが良い。

沖田総司as藤原竜也
20そこそこで、大河2番手を務める藤原竜也。若造として描かれる強さと危うさと可愛らしさが良い。
一方で、違う理由で死と向き合うことになる総司。
唯一自分から命が短いことを平助に語るシーン。喋りながら伝わる感情が青くて痛くて、藤原竜也の繊細な演技に惹かれた。

土方歳三as山本耕史
近藤勇のために、修羅の道を選ぶ優しい男。近藤の影。主人公以上とも言える人気を誇る理由が分かりすぎる。
土方歳三好きになっちまう。
どんなに鬼の副長でも、その裏にある優しさとか苦悩がばっちり。
涙を流すシーンが秀逸。
「待たせたな」かっこいいんじゃ。

山南敬助as堺雅人
近藤のもう一つの影。そしてブレイン。
穏やかで知性があって、その分闇に進もうとする。土方に比べて善ゆえなのがより辛い。もちろん一番好き。敵うもんか。
33回しんど過ぎて、ただ泣く。なぜ、なぜ?
亡くなった後も言葉が出てくるたびに、思い出してしまうほど。それが新選組のみんなとも重なるから、印象的。

斎藤一asオダギリジョー
無口で、義理に厚い男。団体行動は出来ないが有能でカッコいい。
一方で、不器用なのに優しくて、そこが可愛らしいところもあるし。
今ではさまざまな分野で活躍している方々の集まりだけど、ここオダギリジョーがいた渋さがまた味。
唯一かっこよすぎて泣ける。

芹沢鴨as佐藤浩市
我が儘で自分勝手で、他人の命を紙切れのように思っている男。
ある意味自分だけを信じられる強さ。
25話は神回。
死に場を悟ってからが圧巻で、斎藤一に来るな、って言うところに人柄が現れていて好き。
私はこの人を悪役と思いたくない。

河合as大倉孝二
「ある隊士の切腹」
ボタンの掛け違いが不幸へと繋がってしまうある出来事。
全て終わった後で飛脚が着いた時の、悲しさと言ったらない。
多くの人が亡くなるドラマだけど、この死はまた特別に印象的だった。

捨助as中村獅童
「呼ばれてないのにやってくるのが、捨助でございますよ」
オリキャラ感が強く、進行を都合良くしたり、時間調整に見えたり、少し苦手なキャラクター。
でも、新選組局長としてではなく、1人の幼馴染としてかっちゃんを想う気持ちに溢れていて、憎めないラストだった。

松平容保as筒井道隆
「正義は我にあり」
って本当に心の底から思っている善人大将。近藤の真っ直ぐさと息が合うのはわかる。似ているんだ。
容保に関しては綾野剛と孝明天皇の松本幸四郎で私の脳内は完璧なのでイメージが違うが、
心が綺麗過ぎて振り回されるお坊ちゃまもしっくりきて良かった。

坂本龍馬as江口洋介
幕末のヒーローとは誰なのか?
彼という声も多いだろう。
新選組の映画でも、彼はちゃんとヒーローだった。
私は『龍馬伝』育ちなので、どちらかというと幕府のが敵視点。彼ら目線で歴史を観るのは難かったが、それぞれがそれぞれの目的の元動いた上の悲劇で理解はできた。
おりょうの麻生久美子がまた可愛らしくて、2人のシーンが癒しだった。

一人一人書いていたら到底キリがない。
後半死が多くなっても、その人の生き様を見せて散らせる。
ここでやめたら○○の死が無駄になると、やめられなる悲劇の連鎖なのに…
源さん、平助、甲子太郎、観柳斎etc
散っていくのが辛くて、動かしようのない事実があって、大河ドラマで推しは作っちゃいけないと思うのに、どんどんみんな自分の旧友かのように親密になっていく。好きになっていく。
アレンジは大幅でも、1人の人間として尋常じゃなく魅力的なのは大河ドラマ。

最終回のエンディングの演出が、ニクいんだけど、泣けてしまうよね。
初めて完走した大河ドラマになりました。
ねまる

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