ブタブタ

黒井戸殺しのブタブタのレビュー・感想・評価

黒井戸殺し(2018年製作のドラマ)
4.5
アガサ・クリスティ『アクロイド殺し』を、舞台を日本にしアレンジを加えながらほぼ忠実にそして完璧な映像化では。
原作はミステリーファンの間では超有名な絶対にやっちゃいけないタブーをやってしまった事で賛否両論の作品。
三谷幸喜✖️野村萬斎によるクリスティ『勝呂武尊シリーズ』第二弾。
第一弾『オリエント急行殺人事件』がちょっとイマイチだったので余り期待してなかったけど之は見事で最高だった。
ポアロ=勝呂武尊(野村萬斎)のパートナーで所謂ワトソン役を務めるのがコレまた芸達者で野村萬斎と並んでも絵になる大泉洋。
この二人が謎の殺人事件に挑むわけですが(ミステリーに興味無い人は何言ってんのかわかんないと思いますが)このアクロイド殺しもクィーンの「後期クィーン的問題」を多分に含んでて『ドグラ・マグラ』の様に「探偵小説」という物、そのものに対するアンサーでありアンチテーゼであり、当然探偵小説には犯人が居て其れを書いた作者がいて、そう考えると小説の最後に探偵によって提示される真犯人も結局は「作者」によって提示された物でそう考えるといくらでも「真犯人」の奥には実は「真の真犯人」が居てみたいなメタ的な世界に突入してしまう。
アクロイド殺しは其れに1つの答えを提示したというか、もう反則技に近い形で探偵が小説を超えて本来勝てる筈がない「小説の作者」即ち「神」に対して「第四の壁」を超えてチェックメイトを決めてしまう、其れが凄いのと同時に其れはないんじゃない(笑)的な賛否両論作品で、それを見事に実写映像化した本作は見事だった。
第三弾『死との約束』が楽しみです。
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