山岡

SHERLOCK/シャーロック シーズン3の山岡のレビュー・感想・評価

4.5
モリアーティはもういないけど、S1,S2に引けを取らない充実したシーズン。

特に第2話の結婚式回はコメディ色が強く、これまでのシーズンで丁寧に培ってきたキャラクター像を破壊しそうなほど過剰なネタが次々に放り込まれる挑戦的な回。ロマコメのサブジャンルであるウエディングムービーの歴史に新たな傑作が加わったといっても過言ではないと思う。90分間かけてさんざん馬鹿騒ぎした後、寂しくパーティー会場を去っていくシャーロックの姿で終わるところも憎い。

そして第3話、ラース・ミケルセン演じるマグヌセンの強烈なキャラクターは、正直、モリアーティを超えている。ただ立っているだけで身の毛もよだつような蛇のごとき気持ち悪さ。そして婆さんの顔をペロリと舐めたり、シャーロックの下宿で小便をしたり、シャーロックの食事を横取りしたあげく彼の飲み水をフィンガーボウルとして使うなど…驚嘆すべき狼藉の数々…怖すぎるのでもっと彼が活躍する姿をあと3話分くらい見たかった。
シャーロックが敵に完全敗北し不本意ながら一線を越えてしまうというクライマックスの展開は衝撃的ではあるが原作の「恐喝王ミルヴァートン」に準拠している。加えて、S1の第一話でジョンが犯人を撃ち殺してシャーロックを救うという展開とシンメトリーな構造にもなっており、見事としか言いようがない。
一応、モリアーティの生存を示唆するクリフハンガーで終わるが、ジョンとシャーロックの別れ際で「最後の挨拶」のセリフを引用しているあたり、S3で完結することも覚悟したエンディングになっている。
山岡

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