荒野の狼

東京湾景 Destiny of Loveの荒野の狼のレビュー・感想・評価

東京湾景 Destiny of Love(2004年製作のドラマ)
4.0
沖縄出身の仲間由紀恵が在日韓国人の役にはどうかと危惧して見ましたが、杞憂でした。特に開始5分ほどの仲間の初登場シーンのチマチョゴリ姿の美しさは息を呑むものがあります。ストーリーの各所で民族風の衣装や髪型で仲間は登場しますが、日本の着物姿より似合っているのではと思えるほどです。彼女の過去の作品のなかでも、最も美しい仲間が見られる作品の一つです。在日という境遇もあり自らの本名すら隠す仲間ですが、それを非難する事情を知らない日本人(佐藤江梨子)に対し、仲間は一言も言わないのですが、行き場のない哀しみと無念を秘めた表情は、無言のうちにすべてを語っており、美しい名演技です。仲間主演ということで、在日の抱える人種間の問題は仲間の父親の世代の沖縄県民の受けた差別をも考えさせられました(当時アメリカであった沖縄の人が本土にわたるときにパスポートが必要であったことなど、この物語と重なる部分があります)。また、韓国語で歌われる主題歌と挿入歌は感動的です。他の登場人物としては、抑えた知的な演技の仲村トオル、とても怖い李麗仙、純粋でハンサムなパク・ヨンハが出色です。パク・ヨンハと仲間のからみがありますが、この二人が主演であったらと思わせる贅沢な顔あわせです。物語の一部に陳腐なところはあり、完璧なドラマではありませんが、他にもハングル文字の美しさや日本語との共通点、在日との文化の壁など、色々な点で楽しめる作品です。
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