よるこ

ドクター・フー リボーンのよるこのレビュー・感想・評価

ドクター・フー リボーン(2018年製作のドラマ)
4.4
リジェネレーションしたドクターは今度は女性に。
しかもターディスとはぐれてしまい、エイリアンが現れた電車に落ちてくる。
場所はイングランド・シェフィールド。
電車の乗客だった老夫婦、森で謎の物体を見つけた孫の青年ライアンと再会した幼馴染の警官ヤズが合流し、エイリアンの目的を探り阻止しようと奮闘。闘いで祖母グレースを亡くしてしまうが、残された再婚夫のグレアム、義理の孫のライアン、警官ヤズに協力してもらいドクターはターディスがある場所へ自分を転送するが、軌道がずれただけでなく他の3人も一緒に宇宙に放り出された。
ここから4人での旅が始まる。

死の星でのレースやローザ・パークス事件…まだここまでしか見てないけど、今の所ナンダコレ(たまにピンとこないエピソードも個人的にある)感は全然ない。ワクワクして毎週待ってた。
シリーズを通しての敵はおそらくThe Stenzaの一族なのかな。

女性ドクター、違和感ない。すごく良い。12代目より(脚本やコンパニオンの設定や相性もあるけど)好き!あと、義理のおじいちゃんとイマイチ心を開けてない義理の孫の関係性が可愛い。

4話は(SATCのビッグ役のクリス・ノースが)次期米国大統領候補という強権的なホテルオーナー(トランプのライバル的な…)の利益優先経営のせいで街に巨大蜘蛛が出現。オーナーや総支配人として雇われたヤズの母、研究者と共に4人は蜘蛛たちの巣であるホテルに閉じ込められる。
妻の死から立ち直れていないグレアム、ずっと放置されてきた父と確執のあるライアン、家族は好きだけどうんざりしているヤズは正式にコンパニオンになる。
悪者であるオーナーが裁かれる所まで描かれないのは少しスッキリしないけど…。

5話はクリス・チナブル最初の脚本42のような、宇宙船でのパニックもの。
ソニック地雷に遭った四人がターディスをガラクタ星に置き去りのまま医療船に拾われ、そこに小さな害獣が紛れ込み、スタッフを殺してしまう。
航路を外れたり害獣の存在が3回確定してしまうと爆発する時限爆弾付きの中、病気の乗客の協力や妊婦の出産の中みんなで乗り切る。
今回のシーズンはやたらターディスと離れ離れになる。
男の出産にオロオロするおじいちゃんと孫が可愛い。

6話はヤズのおばあちゃんの話。おばあちゃんからもらったおじいちゃんの時計の事が気になるヤズは、ドクターに無理やり頼み込み、着いた先はインド・パキスタン分離独立の国境が発表された1947年8月17日のパンジャブ。そこで悪魔を見る。しかもおばあちゃんの結婚相手は祖父ではなく、幼馴染でヒンドゥー教徒のプレムという青年。不可解な謎が深まるが、隣近所だった普通の人々が暴徒と化す中、プレムの弟マニシュの先導で悲劇が起こる。
それを見ているしかないドクター達。
すごく悲しいお話。印パの核開発競争とかガンディーとか断片的にしか捉えていなかった。戦後イギリスからの独立の際に宗教でこんな虐殺や悲しい分裂が起こっていたなんて…。

7話はロボットと人の雇用についてのお話。
宇宙一の小売企業(Amazonのような)から届いた荷物の伝票の裏にHelp meの文字が。カブラムの倉庫にやってきた4人は社員として潜入。人が消えている事を突き止め、管理者を疑うも…犯人は人間が10%しか雇われない現状やシステムの不完全さに不満を持つテロリスト的な考えを持つ青年だった。
ロボットや管理者が悪かのように見せかけて…ロボットを扱う人間の問題や、ロボットの誠実さを描いたお話。
怖い時もあるけど、ポストマンっぽい風貌がちょっとコミカルで好き。あと、メッセージは大抵サイキックペーパーで来るのに一捻りあって、ジェットコースターのような配送システムのシーンもスリリングだし、この話はオチまでいい流れだった。

8話は17世紀イングランド・ランカシャー・ペンドルヒルを舞台に、魔女狩りと虐殺で封印されたエイリアンの軍隊、ジェームズ1世のお話。
王が一人だけの護衛で魔女狩りに彷徨いてる?という謎と胡散臭さを感じたけど、別に珍しくないのかな。
シーズン2のビクトリア女王のトーチウッド館の時はもっと護衛がいたけど…意外に宮廷に閉じこもらず旅をしていたのかも知れない。
ゾンビみたいなおばあちゃんがちょっと気持ち悪いし、軍隊の女王がシーズン10のシェアハウスの木人間をより気持ち悪くしたよう。
意外と人種差別はなさそうな感じだけど、女性差別は酷いし、魔女狩りが理不尽すぎる。

9話は2018年のノルウェーの湖畔。打ち付けられた板だらけの妙にセキュリティーを意識したログハウスに盲目の少女が一人、4日前に居なくなった父親の行方を案じて怪物に怯えていた。
2階でグレアムが映らない鏡を見つけ、そこがポータルだと判明。中に入ると人間を食べる醜い男と肉食蛾がいて、ここは非世界だという。非世界は宇宙の存在の安定が危うい場合に作り出される緩衝地帯で、鏡を抜けると少女ハンナの父親エリックが亡くなったはずの妻とコピーされた地球で暮らしていた。またグレアムの前に死んだ妻グレースが現れ、惑わされそうになるが、ここがソリトラクト世界=宇宙の存在を破壊する意識世界だと気付き、ドクターはその嘘を暴いてみんなを救い出す。
グレアムを慰めるため、初めてライアンがおじいちゃんと呼ぶ。

鏡の向こうにそっくり同じ世界がある、というのはちょっと夢のようで楽しい。
ドクターに七人おばあちゃんがいて、五人目のおばあちゃんがお気に入りという新たな情報が。

10話目は宇宙に同時に二人しか存在しない種族アックス族がティムショーに創造主だと騙され、その想像するだけで創造できる能力とステンザの技術が組み合わさり、星ごと閉じ込め、宇宙の形を変えようとしていた。
3704年後、救難信号をいくつも受け取ったドクター達はその星に降り立ち、宇宙船で男と出会う。星に蔓延する記憶を奪い頭を狂わせる抗精神波を遮断しながら、徐々に蘇る男の記憶。ティム・ショーの生存を知ったグレアムはグレースの仇を取ると息巻き、ここでみんなとお別れする覚悟だったが、ライアンの引き留めもあり、思いとどまり、男の仲間を救い、ティム・ショーを聖堂の中に留める。
シーズン11通しての敵なのかと思ってた第一話のティムショーが意外とあっさり片付いて少し拍子抜けだけど、グレアムとライアンが完全に心を通わせたのが良かった。シーズン1のスリジーンやシーズン4のラストに言及したのもちょっと嬉しい。

11話というか、スペシャル。しかも今回はクリスマスじゃない。お正月スペシャル。
いつも13話+スペシャル回という話数の印象だったので、まさかこんなに早く終わると思ってなかった。
あながち、ティム・ショーがラスボスってのは間違いじゃなかったという…。
そして、スペシャルはダーレク回。
9世紀の戦いで倒された偵察兵のダーレク。三つに分割され、2つは代々の守人に見張られていたけれど、3つ目は守人が盗賊に殺されてしまい、そのまま放置され、21世紀になって発掘され、紫外線を浴びたことで復活してしまう。
しかも偵察兵は他のダーレクより強く、発掘作業をしていた女性に取り憑き、操って昔の部品を修理させて復活するが、女性の恋人、ヤズ、グレアム、ライアン、ライアンの父の協力もあり、ドクターはダーレクを何とか倒すことに成功する。
第一話でドクターが自分でソニックドライバーを作ったのと同じようにダーレクが自分の体を作るのは斬新。
シーズン通して描かれてきたライアンの家族関係が進展し、一応解決。
歴史を絡めたダークな展開ではあったけど、今までのクリスマスのスペシャル感は薄いし、ダーレクも一体しか出てこないし、人もあまり出てこないので大災害のスケールが小さくそこは少し残念だけど、話としては面白かった。
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