ふぅた

空から降る一億の星のふぅたのレビュー・感想・評価

空から降る一億の星(2002年製作のドラマ)
3.9
北川悦吏子脚本は毎回泣かされる。
『ロングバケーション』から『半分、青い』まで、平成の時代を描いて来た脚本家の中でも、彼女の作品は時代に揺るがず、今でも愛され続けている名作で溢れる。

本作は明石家さんまと木村拓哉のダブル主演で当時話題になった。
しかし、キャストを超えるシナリオの深さに感動させられた。
大人のミステリーサスペンスドラマは現在それほどない。
1話から11話までへの伏線の効き方が複雑だが、視聴者を退屈にさせない。
もちろん安易に先が読めることは決してない。
これほどミステリー作家としての気質あるラブストーリー作家は数少ない。
物語に匂いを感じる。シナリオだけでなく、これにはキャストの力もある。
話に矛盾は無い、少々無理のあるドラマくささもあるが、それがドラマだし、ドラマでしか許されないルールでもある。視聴者は物語に引き込まれているから、少々無理な設定であろうと、ドラマくさくあろうと、その世界観に浸ってしまう。そして感動、涙する。
『空から降る一億の星』は、サスペンスミステリーではなく、愛に満ち溢れたラブストーリーであり、それはやはり北川悦吏子にしか描けない物語なのだと改めて感じた。

この物語の中で最も悪なのはことちゃん説。個人的に。
ことちゃんの行動には人間性、道徳性を疑う。ことちゃんさえいなければレベル。もし、一つこの物語に指摘をするなら、ことちゃんの立ち位置を考え直すべきなのでは、と。
それ以外は最高に良かった。
ふぅた

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