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家康、江戸を建てるのなっこのレビュー・感想・評価

家康、江戸を建てる(2019年製作のドラマ)
3.0
あらすじ[NHK公式HP https://www.nhk.or.jp/jidaigeki/ieyasu/index.html より]

前編「水を制す」

徳川家康(市村正親)は、低湿で水浸しの大地(今の東京)に、人が住めるようにするには、どうすれば良いか?と考えた。海水が流れ込んでくる関東の低地では井戸から水を得難く、人が生きるための清水の確保が急務であった。いわゆる上水の整備を命じられたのは、家臣・大久保藤五郎(佐々木蔵之介)。若き日、戦場で傷を負い、馬にもまたがれぬ身となり、家康のための菓子作りを長年してきた大久保は、現在の井の頭池から江戸の町に上水を通すという一世一代の大仕事に取り組む。が、右腕となるのは、武蔵野農民の人望厚いだけの名主・内田六次郎(生瀬勝久)と、変人テクノクラート・春日清兵衛(千葉雄大)。二人の扱いに手を焼く藤五郎に比べ、利根川の流れを変えるという大工事に挑む伊奈忠次(松重豊)は着実に成果を上げていく。長引く工事に幕府の金庫番・大久保長安(高嶋政伸)が猛烈に圧力をかけてくる中、藤五郎は神田上水完成のため、伊奈の協力を求めるが・・・

後編「金貨の町」

家康(市村正親)が目指したのは、全国共通貨幣「小判」を一手に製造する首都・江戸の建設である。この頃、日本の経済の中心は、豊臣家の拠点・大坂であった。大坂に物が集まり人も集まり、発展を遂げる。江戸を大坂以上の経済都市にする。そのためには日本全国に流通し、安心して利用される日本初の流通貨幣を「江戸」で、製造しなくてはならない。家康が抜擢したのは、褒賞の品としての大判の金貨作りを牛耳ってきた京の名家後藤家の一職人に過ぎない橋本庄三郎(柄本佑)であった。随一の腕を誇りながら、「後藤家の人間」でないため、名を出して仕事をする事ができなかった庄三郎にとって、江戸に行き家康の下で「天下万民に流通する日本初の小判」を作れることは千載一遇のチャンスであった。しかし、京の後藤家当主・徳乗(吉田鋼太郎)は娘・早紀(広瀬アリス)との縁組をちらつかせたり、さらには秀吉の力をも使い、小判製造の邪魔をする。庄三郎はひたすら均一で上質な小判作りにまい進する。そして、関が原の戦い。家康に背中を押され、庄三郎の打った手は?

原作本未読、前編・後編は、続きものだと思っていたので、見始めて各話が独立していたことを知りました。時代も前後していますし、中心となる人物の立場もまったく違う。共通するのは、家康に仕えることで主人公は家康その人の人となりを知り、江戸を建てるという壮大なプロジェクトの一端を担うことになるということ。

前編は、利水の話であり、川をつけかえたり、水道を引いたりと現代の土木事業にもつながるお話でとても興味深かった。家康が藤五郎に語るセリフがとても良くて、感動しました。何百年も引き継ぐ仕事を成すには、自分一人で成そうなどと思い上らず引き際を心得、想いを継いでもらうことが大事。大きなことを成す土台を作っても、主要メンバーから外れたらせっせと目立たず菓子を作り続けた藤五郎の人柄を思うと、それも美しい生き方であり、そういう人をそばに置き続けた家康も好人物に思えてきた。お正月にこういうお話を見ると、私は私の仕事を頑張っていこうと、素直に思えました。

後編は、お嬢さんに想いを寄せる主人公と京と江戸で離れている間に家の都合で他家へ嫁いでも彼が直した髪飾りを今も付けている彼女の「堪忍な」という言葉が可愛らしくて、恋する気持ちは今も昔も変わらないなぁなんて、しみじみ。ふたりを繋ぐのは文のやりとりだけだった。その小道具としての文が、もしかしたら後世まで伝わったのかもしれない、なんて思いました。
日記や手紙は、書いた人の生活が明らかになりその時代を読み解く貴重な資料となるとともに、その人がどういうものを見て何を思って生きていたのも同時に知ることになるだろう。今の時代ならどんなものが、そういう手がかりとして残っていくことになるだろうか。ふと、数年前にまとめて処分した携帯電話と充電器のことを思い出した。ひとつひとつリセットボタンを押していくその前に、メールや着信履歴を眺めていると、新しい携帯に乗り換える直前の自分自身にふと戻ってしまったような不思議な気分になったのを覚えている。この小さな端末に打ち込む言葉がどんな風に先の世に残っていくだろう。そんなことも考えさせられた。
そして、ラスト近くの吉田鋼太郎さんの大仰なお芝居も舞台を見ているようで楽しめました。