滝和也

仮面ライダー アギトの滝和也のレビュー・感想・評価

仮面ライダー アギト(2001年製作のドラマ)
4.5
目覚めよ!その魂!

平成ライダー第二弾!

3人の仮面ライダーが
交差する秀逸な群像劇
にしてミステリ要素を
加えたサスペンスとして
も必見!

人は神なる者を超えるのか

「仮面ライダーアギト」

クウガにより好評を博した平成ライダーは第二弾として複数名のライダーと言う新機軸を打ち出し、大人の視聴にも耐えられるミステリ要素を柱として注入、複雑に入り組んだ人間関係と入念に練り込まれたストーリーを持つ傑作を生み出しました。

またそのテーマとして選ばれたのはサイボーグ009の神編、人は神に愛されたものなのか、神は人をどこに導こうとしているのかと言う石森章太郎先生のテイストを十二分に汲み取った内容。

記憶喪失の津上翔一=アギト、既にライダーである男を主役として、警察官にしてG3システム装着者氷川誠=G3、G3Xをライダーになろうとする男に添え、そしてライダーになってしまった男、芦原涼=ギルスの3人のライダーが交差し、多くの人々に出会い、支えられ自分を見つけ、成長するストーリーでもあります。

敵はアンノウン。クウガの未確認、グロンギを超える力を持つ謎の存在。神の使徒として、特定の人間を襲います。その何故狙われているのかと言う部分がまずはストーリーの縦軸としてのミステリーとなります。そして中盤から狙われる中心にいたのはあかつき号事件と言うフェリーの海難事故にあった人々。そこで何があったのか、そこにいた津上翔一に何があったのかが更に謎を呼びミステリーとしての度合いが高まります。

そして…アギトなるものとは何かと言う問いと共に異形なる者の苦悩が描かれて行きます。この辺りはクウガと違い、理解者が現れるのは遥か後半。特にアギトの変異体であるギルスに変身する芦原涼は最初から人々の無理解、エゴに苦悩する姿が描かれて行きます。この辺りは脚本家井上敏樹さんの真骨頂ですね。

あかつき号の英雄、アギトになれなかった男にして、仮面ライダーになろうとする氷川誠に要潤が起用され、その真っ直ぐ過ぎる不器用なキャラを好演し、3人のライダーの中では一番出世となったのは良く知られていますね。また氷川誠を支えるG3チームの開発者でもある小沢さん、後輩小室くんとの演技も息のあったものでした。更にライバルとして登場するエリート刑事山崎潤演じる北条さんがキャラが立っていて、ある意味凡人かつ人間のエゴイズムを一人で代表する様なキャラ。彼がある意味ストーリーをかき回す存在。井上敏樹が好みそうなキャラで後のファイズでもオルフェノクとして山崎潤は主要キャラの一人として出てきます(^^)

記憶喪失の津上翔一を支える風谷一家の娘、真魚ちゃんがヒロイン。演ずるはグラビアでも活躍した秋山莉奈さん。すっとぼけた翔一君を支えるしっかり者ですが彼女もミステリーの中心にいる人物。ただ…翔一の日常を描いたコメディ的なホームドラマの部分が一服の清涼剤になってました。主役津上翔一には賀集利樹がイケメンライダーとしてアギトに変身。記憶喪失故にどこか悟ったようで掴み所が無いキャラ。まぁ背負ったものがデカ過ぎて…このキャラでないといけなかったのかと後半分かります。天然ボケなのでカッコ良さが感じられず、他の二人のキャラもあり、やや割を食った感は否めないですが…。

この布陣に更に謎の男、沢木哲也ともう一人黒衣の青年が加わり謎を深めて行きます。更に後半、4人目のライダー、アナザーアギトが加わり、ハードな展開とアクション部分も増強されると言う徹底ぶり。サスペンスアクションドラマとしてはクウガを超えて行きます(正統派ヒーローものとしてはクウガに軍配が上がりますかね…)

ミステリー、サスペンス、アクション、ドラマ性、どれをとっても令和ライダーは歯が立たないハイレベルな作品です。クウガからアギトから繋がれたバトンは高いハードルとして平成ライダーを更に高めていきます。是非ともご覧頂きたいですね。
滝和也

滝和也