腐り姫

恋のツキの腐り姫のレビュー・感想・評価

恋のツキ(2018年製作のドラマ)
5.0
Happy Ever Afterのその先へ

一話一話がとても重厚で24分間とは思えないドラマ体験だった。それゆえ、見始めたのは10月頃だったように思うが、気づけば1シーズン見終えるのに2, 3か月も要した。

このドラマ何が見どころかというと挙げればキリがないが、まず思いつくのはドラマとは思えない映像の美しさ。そして24分間という一話限られた中で十分すぎるほど間をとった演出。こんなのテレビでCMはさんで深夜に放送されていたのかと思うと、なかなか一般受けしないだろうし、さすがテレビ東京×Netflixといったところ。途中断念者も多かったと思えるが、回を重ねるごとに見入っていく視聴者も少なくなかったろうと思える。

本当にドラマとは思えないくらい作りが大胆だ。劇中に登場する架空の映画のワンシーンを織り交ぜてファンタジーテイストに仕上げているところや、急に白黒のカットになったり、エンディングを急に迎えたり毎回想像もつかない演出とストーリー展開に心を鷲掴みにされた。

ストーリーについては原作を読んでいないのでどれだけ忠実かや原作ファンが納得できるのかといった点はわかりかねる。だが主人公に年齢の近い女性なら誰もが見入ってしまうものだと思う。
32歳のフリーター。同い年?もしくは年の近い彼氏がいる。4年付き合っている。彼氏とは「おそらく結婚するだろう」という仲ではあるが、決定的なものはない。主人公の実家に行くのを何とか「いかずにすまないか」結婚してもいいとは思っているが、もう少し後にできないかといったところが彼氏の本音。そんな彼に対して、主人公も結婚に積極的というよりかは「私には彼以上はいないだろう」という気持ちを抱えながら、不幸にならなければいいやという程度の気持ちでいる。そんな矢先に主人公は自分の理想通りの外見、そして欲している言葉、無償の愛をひたむきに向けてくれる人に出会う。だけど、彼は…高校生。

この「ふうくん」こと今彼がクズすぎて、とにかくぶん殴りたくて…いやいや言い過ぎました。説教したくて仕方がないくらい本当にひどい男なのだ。「ワコ」こと主人公に対しての接し方がもう本当に侮蔑的というのが冒頭から如実に表れていて、不快感しかない!
「早く別れるんだ、こんな男と!」とタイガーマスクを応援する少年たちよろしく画面越しに声を上げました。(非常に古い例えですが、私もワコと同い年の32歳である、2020年おおみそか現在、中性脂肪に聞くと聞いた黒酢を片手にするお昼前)
長年付き合ったためか交際間もないころのトキメキ(カタカナにすると恥ずかしいな)なんてなく、ふうくんはもうワコのことをモノ扱い(具体的に言うと年齢制限がはいるのであれですが、成人の読み手の方察してください。女をモノ扱いです。そうです、そういうことです)おまけに面倒なことは何でも押し付けてくるから母親のように頼ってきます。頼るというより寄生か?もうクズで仕方がない。

そんなフラストレーションを貯めに貯めた状態で出会う理想の男性(高校生)の名前は伊古くんはワコにとっては砂漠にとってのオアシスのように思えた。そう一時の心の安らぎをくれるピュアな癒しだった。
その出会いがワコの運命を変え、生活を変え、そしてワコ自身を変え、その後も多くの人との出会いを通して成長していく。

道中はとっても重い。暗い。辛い。頭にくる。許せない。悲しい。切ない。一つ一つの選択をワコは自分に問いかけながら下していき、本当の自分の幸せを模索していく。とても見応えがあって、特に女性にはお勧めしたいドラマである。

Happy Ever Afterのその先へ
めでたしめでたしの先にも物語がある。おそらく多くの女性が通らない道筋をワコは歩むことになる。彼女の行く道を暖かく見守って何かしら自分の糧にできる人にこの作品が今後も出会っていければと思う。