都部

ブレイキング・バッド SEASON 2の都部のレビュー・感想・評価

4.0
理科教師にして売人であるウォルター・ホワイトの明日なき物語の第二幕。本シーズンから全13話構成となったことで前シーズンにあったスピーディな語り口は失ったが、ウォルターとジミー両名の物語を内省的なアプローチで深掘りしていくシーズンとなっている。状況だけを取り上げれば被害者であるウォルターその人ではあるが、取り繕い続ける人生が培った意固地なプライドで他人の手を振り払って底へ底へと悪路を進み続ける人間臭さを描くのは実に中立的な脚本だ。『自業自得』という言葉はそうした人間臭さを度外視した結果論めいた言い回しで私は好かないが、彼の一挙一動に手に汗握りながらも心のどこかでは破滅を望むそんな男としてキャラクターは完成されていく。翻ってジミーは悪に染まり切れない善性を帯びながらもドラッグの呪縛から逃れられない等身大の依存者として右往左往し続けて、どこか観客は彼に同情的な視線をくれてしまうまで含めてウォルターとは対比的に描写される。
またシーズン2ではウォルターの動機となる『家族』をテーマとした展開が終盤に掛けて繰り広げられ、特に第12話『マイ・リトルガール』はその集大成とも言える会話とその後の悲劇によって幕を閉じる本シーズンのベストエピソードだ。
SEASON1と比較すると全体的に内容が過密されたシーズンだったが、クリフハンガーの扱い方が狡いというかあんまりというか……面白いドラマなのでそんなのに頼らなくてもいいのになぁと思わないでもない。
SEASON3に続く。
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