なっこ

魔女の法廷のなっこのレビュー・感想・評価

魔女の法廷(2017年製作のドラマ)
3.1
見たことないはずだけど、英語圏の海外ドラマっぽい雰囲気。内容はガッツリ韓国だけど。タイトルが出てからすぐにこのお話はフィクションですっていう字幕が入る、それほど現実にも起こり得るようなシビアなお話なのかもしれない。

ヒロインの検察官が異動になる部署が、「女性・児童被害対策部」なので、起こる事件がやるせないものが多くて見るのが辛いものもある。けれど、このヒロインは自己中心的な性格で有利に裁判を進めるためになんでもあり、被害者の心情に寄り添ったりしない、出世第一の猛者、だからこそ不利な展開も最後には跳ね返す実力がある。そういう期待を持って見て裏切られないのが魅力かな。

数々の事件の解決と、自らの母親の失踪事件の鍵を握る宿敵との対決。

新しいヒロイン像だと思う。彼女を真ん中に据えたstoryだからこそ魅力がある。ジヌクのような正義感溢れる検事でも、上司であり正義のために戦うミン・ジスクであっても、彼らが中心であったならどこかで見たお話の二番煎じのような印象は否めない。トリッキーな彼女の変化と成長も含めたstoryだからこそ魅力が増したのだと思う。

母親の事件と関わりが深く失踪の原因となったと思われる宿敵、チョ・ガプス。彼を捕まえて罪を償わせるということが最大の目的。それに向かって突き進む、しかしその中で協力者の少女が暴行事件に巻き込まれてしまう悲劇も。あえてこういう描写を取り入れたのは、被害は身近なところで繰り返し起きているという現実を可視化したのかもしれない。ヒロインの熱意や正義感などではどうにもならないほど、性暴力の連鎖は止まらない。弱い立場の人間が不合理に事件に巻き込まれてしまう。だから見ていて辛い、許せない事件が多かった。

ヒロインの特異な性格を愛せるかどうか、はちょっとハードルが高い。でも、ミン・ジスクは上司として満点。彼女のような常に落ち着いていて部下の性格にも目が届いていて、退くべきときはさっと退く、潮目を読むことの出来る人物はそうそういない。とても魅力的なキャラクターだった。彼女が居たからこそヒロインは納得のラストシーンまで辿り着けたのだと思う。
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