じょせふ

ブラック・ミラー シーズン5のじょせふのレビュー・感想・評価

ブラック・ミラー シーズン5(2019年製作のドラマ)
5.0
このシーズンの凄いところは今までの成功に安定を求めず深いテーマまで掘り下げた事であると思う。

ストライキングヴァイパーズ
ジェンダーというのはLGBTQだけでなく他にも更なる定義が存在し、純粋な生物本来に備わるセクシャリティーは僅かにしか存在しないと言われている。そして、この話はどこからが倫理的に問題なのかを手探りで表していてVR空間がもたらす性的な欲求不満がこちら側にもびしびし伝わってきた。ブラックミラーでは"ずっと側にいて"、"人生の軌跡の全て"などに代表されるようにテクノロジーが我々の性生活を変えるのではないかという疑問を投げ掛ける、そして今の先進国に言える出生率の低下も今後描かれるであろう。ただの形の変な友情を描いただけでなく現代社会に向いた鋭い視点も見てとれた。

待つ人
なぜ今さら"ながらスマホ"を扱うのかという疑問が湧いたがどちらかというと人間の承認欲求により制作者の意図を越えて大きくなっていくSNSの依存性、規模、そしてそれにより変化している生活を忠実に描いていた。この話で近代社会というよりは、現代社会が今日抱えている問題を個人レベルにスポットを当てて見つめ直せるという良い体験ができた。1つの人間ドラマとして面白かった。唯一疑問をあげるとすると車内盗聴しているのに何故警察は発砲したのかという疑問である。

アシュリートゥー
優れた脚本家、優れた監督が正直に王道の短編を描いたなというのが第一の感想。カリスター号に近いブラックミラー的な面白さとは少し違う真っ直ぐな面白さがあった。マイリー・サイラスを主役に抜擢しているが、この話では正にマイリー・サイラスやジャスティン・ビーバーなど思春期の真っ只中に世界的アイドルになりそんな自分に嫌気が差し対立する本人とその人々の周りを分かりやすく示してくれている。作り手、歌い手の葛藤が痛いほど伝わってきた。テイラースウィストがカントリー調の音楽を変えたときファンが不平を垂れていたが、彼らにも心境の変化はあるし路線変更だってしたい、手段が目的になるという言葉があるようにやりたいこと路線と売れる路線は異なる。ハッピーエンドのようだが、スタジアムを埋めていたアイドルがライブハウスで演奏していたラストは留意すべきである点である。
じょせふ

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