さすらいの用心棒

名探偵ポワロ シーズン12のさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

名探偵ポワロ シーズン12(2010年製作のドラマ)
3.6
セミファイナルに差し掛かったシーズン。

『複数の時計』
複雑に複雑を重ねたプロットが真相からスマートさを奪っている印象がある。入り組み過ぎていて真相が解明されたときの爽快さが皆無だった。ベルギーからの亡命者であるポワロの憤りが伝わる。

『三幕の殺人』
クリスティの某有名作品のリベンジともいうべき内容。ドラマとしてはかなり安っぽい演出ところが気になる。

『ハロウィーン・パーティ』
ポワロ・シリーズでは珍しいハリー・ポッターのような幻想的な世界観が展開される。犯人は意外な人物だし、真相に至るまでのプロットもかなり面白い。

『オリエント急行の殺人』
2度も映画化され、アメリカで1度、日本でも1度ドラマ化されている名作中の名作。これだけ映像化されたためか、クリスチャンとしてのポワロの苦悩にフォーカスした独自のアレンジが施される。そのために全体的に暗い雰囲気に覆われており、ロジックよりもドラマ性を重視した内容になっている印象。原作を最も忠実に、かつ面白く論理重視に映像化できているのはやはりシドニー・メルット監督『オリエント急行殺人事件(1974)』の映画版だと思うので、そちらもオススメしたい。ケネス・ブラナーの2017年版もあるけど、あれはなかったことにする(笑)