トム

ミスター・サンシャインのトムのネタバレレビュー・内容・結末

ミスター・サンシャイン(2018年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

あぁ、見終わってしまった…。
超・壮・絶。
人生No. 1。ドラマの域を越えすぎてる。
伝えたい素晴らしさが山ほどあるけど私の語彙力では到底無理です。この上ないドラマに出会ってしまいました。

極悪非道な日本人の側ではためく日本国旗。
今や世界から注目されてる韓流ドラマブーム。そんな中この脚本をどういう気持ちで書き上げ役者達は演じたのか、日本人としてどう見るべきなのか苦しかった。流し見できないドラマで、こんな言い方したくないけど、観る『べき』作品だと思う。

作品中オルゴールの使い方がとても印象的でした。
悲しく、切なくもあり、恋しくて嬉しくもなれば恐怖にもなったあの音色が頭から離れない。皆んな一度は聞いた事があるどこか懐かしさも感じるあの音色が様々なシーンを思い浮かばせます。最後、僅かな希望を抱いた後は虚しさだけが残りました。

工藤ひな役のキムミンジョンさんとても素敵でした。女性らしいラインで衣装を着こなし、知的でスマート、芯の強い女性を見事に演じ切り、彼女が着こなす衣装が素敵で楽しみの一つにもなっていました。

ヒロインの歯がゆいプラトニックな恋模様、2人の空気感とても良かった。皆、彼女には花として生きて欲しかっただろうに。危険すぎる浪漫、ここまで残酷な道になると分かっていても、彼女なら同じ道を歩んだでしょうね。切なすぎる。
ユジンがアルファベットに込めた想い、作中何度も出てくるメッセージとリンクした時は鳥肌が立ちました。

ちょっと残念な所はテーマが重すぎる故、前半ユジンの大ゴケ・紙食べるやり過ぎた笑いは浮いてしまって勿体無い。過剰な箸休めは別の人に任せても良かったな。最後の玉の使い方が最高にかっこよかっただけに、ここだけ脚本からカットしたい。(何様)
でも彼の演技は本当に素晴らしかったです。悲しい結末と知りつつ己を犠牲にしてでも彼女を守り続ける愛の深さ、いつもどこか悲しそうな表情が何とも言えず。流暢な英語も相まってかっこよすぎた。

そして3人の深い情、美しくも悲しい映像と音楽、アイテムの使い方、完成度が高すぎる名作です。今後これを越えるものは無いかもしれない。オープニング(イントロ)までも鳥肌が立つ程見入ってました。

誰が見ても日本人に嫌悪感を抱く様な脚本・演出を、莫大な制作費をかけてグローバルなNetflixで発信した意図を考えたら日本人としては手放しで感動したなんて言えないです。日本人に向けた刃はとても鋭かった。自国を守るためとはいえ反省しなければなりません。呪いのような時計のメッセージは、私たちへ向けたものに違いないですね。

激戦地となった沖縄でも日本兵士が地元人に行ってきた言動はとても酷いものでした。「敵軍よりも日本軍の方が酷かった」と証言している方が大勢います。事実を知ってる方々はもう数名しか生き残っていませんが、作中の演出は誇張し過ぎでは無いのかもと思っています。戦争は人を変えます。都合の悪い事は隠され、どの戦争も、犠牲を強いられてきたのは地元の人たち。

とても長くなりましたが、セリフ一つ一つが重くのしかかるのでまだ観てない方は気持ちに余裕がある時に、気合を入れて観てください。とても考えさせられるドラマでした。
トム

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