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刑務所のルールブック/賢い監房生活(原題)のmaomのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

なぜこれを見てなかったのか!やっぱり応答せよシリーズも賢いシリーズも全部見なくては…と再確認。
ありえないくらいハートフルでコミカルな刑務所内の人間ドラマをベースに、その温かみがときどき裏切られるところが重要かつすごくよかった。
印象深かったのは、まったく更生してないバルジャンが、出所前にミンチョルさんに言ってる言葉は全部うわすべりしていて、ミンチョルさんもそれを全部察して諦めたように聞くくだり。出所したらまずプデチゲ店に行きたいなんて言ってても、出所の瞬間にそんなこと全部忘れてしまう…分かるけど切ない。プデチゲ屋を通り過ぎて高速ターミナルへ向かうところは名場面だなと思ってたので、裏切りをさらに裏切るように数話後にほんとに帰ってきたときはまた泣いた。ミンチョルがらみのシーンは全部泣ける。
それからコ課長やカイストみたいな、愛すべき重要キャラが突然いなくなってその後出てこなくなるのも、ふつうの人間関係を築けない刑務所の特殊さをよく示しているように思えた。ハニャンの描写も現実的。
一番最後にユ大尉が、もう少しなんだけどなんか顔が疲れきってしまっているところもなかなか苦しくてうまい(このドラマのチョン・ヘインは最高)。ジュノがペン部長みたいなノリになってるのは素敵だけど、刑務所が決してハートフルな場ではないことを示す、ひんやりとしたシンメトリーなカットで終わるところもよい。

シリアスな場面ばかりあげたけど、笑いが基調にあるし主人公があまり感情表現しないので、変に暗くなりすぎない。やっぱりこの脚本家独特のギミックの多さは見ててめちゃ楽しい(細かい工夫が多いので目が離せない)。ラジオや歌謡曲の使い方、そしてヒップホップのOSTもかっこいい!!
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