このレビューはネタバレを含みます
激動の最終シーズン。ブレイキングバッドという先があるからこそわかっていたことでも、やはりメインキャラクターの退場が続出する展開には衝撃を受ける。
そしてソウルの晩年へと話は進み、足を洗って隠居していても、やはり人間の根本は変わらないものなのか若かりし頃のような生活へと回帰していく。
自身の欲に引き換えた多くの犠牲に対してのツケを払わされるという、ごく真っ当で妥当な展開は、サスペンス性で散々盛り上がったこれまでのものから比べるとあまりにリアルで無理がない。最期だからと劇的なラストにしようとせず、非常に抑制の効いたものに仕上げていて、人格形成の過去がきっちり描かれてきたからこそキムとの2人で築いた刹那な幸せに胸がぎゅっとなる。
最期にジミーとして選んだ道。犯罪者ではあるが、半生をみてきたからこそわかる憎めなさや哀しき運命に同情しつつ、これまでもうまく乗り切ってきたスキルがあるという安心感でこの結末に悲壮感はない。そしてたぶんもうこれ以上ベストな関係性はないと思われるキムとの壮大な愛の物語の結末として完璧といわざるを得ないのではないか。
見終わったあと、こんなにもブレイキングバッドを見返したくてウズウズするなんて。素晴らしすぎるサーガ。