茶一郎

ベター・コール・ソウル シーズン4の茶一郎のレビュー・感想・評価

4.7
 「法的劇」やら兄弟の「愛憎劇」といった既存のジャンルを飛び越えたからこそ演出と撮影、演技の偉大さが強調されたというシーズン4。もうこうなってくるとお話がいくら地味でも、何だか怖く、何だか緊張感があり、何だか心動かされる。

 6話「ピニャータ」に至っては、ピクサー出身の『ファインディング・ニモ』のアンドリュー・スタントンが監督を務めた。アンドリュー・スタントン監督曰く「『ストレンジャー・シングス』がスピルバーグによる未完の作品」だとすれば、本作『ベター・コール・ソウル』は「キューブリックに夜未完の作品」らしい。
 「言い過ぎだろ」と思っていたのも束の間、10話に近づく(それは『ブレイキング・バッド』に近づく事と同じ意味ですが)につれて、3人の主人公の複雑な人間関係の摩擦が臨界に達し、「勝者」と「敗者」の二つを浮き彫りにする。ジミーは敗者ではないだけで、一生、兄に勝てない人生を選んでしまった。だからこそ、「勝者」になるためには「グッドマンなる」という途轍もなく切なく、全てを度外視した選択をする。
茶一郎

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