Moiai

中学聖日記のMoiaiのレビュー・感想・評価

中学聖日記(2018年製作のドラマ)
-
1話から、今クールいちばんハマってた。が、ねえ『中学聖日記』最高じゃない?!って言って賛同してくれるのって独身子ナシ女子のみだったりして、あれ…そう言うことなの…?これを楽しめるのって人間関係において特になんの責任も負ってないわたしのような人間だけなの…?とか思ってモヤモヤしたりもしたけど、いや、違うよね。これって普遍的なラブストーリーだよね。

【恋愛の魔力】
何が良いって学生期の黒岩くんの気持ち悪さと純粋さのあいだみたいな独りよがりな強い感情!正直、聖ちゃんは何も悪くないってわたしはずっと思ってた。だってあれを食らって平然としてられるのってそれこそ原口さんくらいだもの。でも、最後に弁護士事務所で聖ちゃんが黒岩母に言ったセリフにハッとした。それが大人だった。恋愛の魔力に呑まれてわたしも忘れてた。危なかった。客観的に観てるわたしでさえこんなんなんだから、自分でそれに気づけた聖はえらいと心から思った。

【大人になる】
そうして「僕が」「僕は」だった黒岩くんも聖ちゃんの幸せを想えるようになって、それが〈大人になる〉ってことだったと同時に、大人たちは大人たちで逆に〈なりふり構わず自分が正解だと思うことをする〉っていう選択を取れるようになることで人間として成長していて興味深かった。〈自分で考えて自分で責任を取る〉って大人の条件みたいに思えるけど、それを最初からブレずにやってきてたのって黒岩くんだと思うし、それを年齢だけで無碍にされるのは見ててもつらかった。まあ実際経験も思考も浅いから、大人からすれば一蹴したくもなるけど。

【強い女性の描き方】
それにしても原口さんみたいな超人的なひとが物語のなかにいてくれてよかった。けど、彼女がたまに見せる嫉妬みたいなのも実によかった。ああいうひとって人間離れしてると思われがちだし、ドラマとかでもそう描かれがちだけど「ただ愛が強いだけ」なんだよね、ってすごく納得した。強い女性は強いからひとりでも生きていける、って勝手な論理に持っていかずにすがりついた勝太郎、よくやった。

【まとめ】
中学生との年の差恋愛をセンセーショナルに描くんじゃなくて、立場や年齢関係なく、全てのひとを個として等しく扱っていて、誰の感情も正当化せず、かといって不当に攻めたりせず、それでいてただのぬるい夢物語にしなかったこの作品に敬意を表したい。ラストシーンは上手く行きすぎでしょーと思いつつも、それが取ってつけたようにならずにこちらも納得できたのは、これまで丁寧に積み重ねてきた聖と晶がいるから。主人公ふたりの配役もすばらしく、とにかく恋愛の妙味を改めて感じました。すばらしかったです。

この作品に限らず今クールは同年代のつらい女子たちがめちゃくちゃ多かった気がしてて最初は毎週心を痛めていたけど、それでも少しずつ自分の脚で乗り越えてひとりで生きていく強さを身につけるさまに勇気を得た。
特に有村架純の演技ってこれまで観たことなかったけど、小さくてかよわくてかわいくて、極めて普通な女子のなかにある強さと凛とした姿勢が表情とか声とかに表れててすごくかっこいいと思った。これからも応援しています。
Moiai

Moiai