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ザ・クラウン シーズン4のGreenTのレビュー・感想・評価

ザ・クラウン シーズン4(2019年製作のドラマ)
3.5
興味なかったんですけど、シーズン4はついにダイアナ妃が登場!で、ウィリアム王子が、「ネフリは金儲けのために両親を単純化し歪曲して描いている」と不満を表明したとニュースで読んで逆に興味が湧いてしまいました。

動機は不純だったのですが、観始めてみるとシーズン4はまさに私が知っているドンピシャの時代で、サッチャー首相、IRA、ダイアナ妃、80sのポップ・ミュージックや服装など、ツボにはまりました。

英国王室の話なので、衣装や建物、内装などの大道具・小道具は見せる前提で時代考証もデザインもクオリティが素晴らしいし、キャストもオリビア・コールマンやヘレナ・ボーナム=カーター(意外!)を始めとして演技派ばかりで面白い。

サッチャー首相は、英国初の女性首相だったんですね~。まだ子供だった私は、それがいかにすごいことなのか分かってなかった。「鉄の女」とか言われて、全く物事に動じない「怖いおばさん」だと思っていたけど、自分もおばさんになってみると正しいことをしようと戦う女は必ずなにがしかのレッテルを、今でも貼られるのにこの頃は大変だっただろうなあ。

前3シーズンすっ飛ばしたので推測ですが、エリザベス女王は、このIRAが盛り上がりイギリスひっちゃかめっちゃかな時、「何もしないで大人しくしているのが一番」と言うのを「王室のポリシー」にしたみたいで、狩りやハイキングなどして遊んでばかりいる。

そういう王室の集まりに、サッチャーは呼ばれて参加しなくちゃならないんだけど、労働者階級育ちでシティ育ちのサッチャーには、王室の遊びが前時代的で田舎臭く、アホらしく感じるってのが面白かった。

確かにエリザベス女王の家族は、なんかしょっちゅうツルんでいて、外に友達いないみたいに描かれている。アウトドアが好きなのか、田舎の百姓みたいなカッコして、農協のじーさんばーさんみたい(笑)

『ブレイブハート』で見られるような、「力自慢」のフェス?みたいのとか、サッチャーが「この人たちは洗練されてない」と早々に引き上げる気持ちが良くわかった。

ダイアナ妃がポップ・ミュージックや芸能人が大好きなミーハーだったってのは有名な話ですが、劇中ではそれは彼女がまだまだ子供だったから、という解釈になっているよう。20歳で結婚したんだもんねえ。

チャールズ皇太子は、姿勢の悪い、あんまり自信のない、委縮した人って感じに描かれていた。既婚の女性、カミラとデキているのはバレてて、ちゃんとした人を見つけて結婚しなさいみたいに言われていて、そこに都合良く「有名人だったら誰でも会ってみたい!チャールズにも会ってみたい!」って感じのダイアナが現れる。

サッチャーにしても英国王室の人たちにしても、「一般の人たちと同じ」目線で見たことはなかったので、そういう風に見せてくれるのがドラマのいいところだなと思った。

エリザベス女王が自分の子供たちを心配して、一人一人別々に会うところで、4人子供がいるって知ったんだけど、それぞれ「王室の子」だからこその悩みや葛藤、あきらめ?開き直り?なんかを告白していて面白かった。その中で、「次男のアンドリュー」ってのが出てきたとき、「あ!コイツ、未成年者とヤッてた疑いのある人じゃない?!」って思って、「なんと~!!チャールスの弟だったのか!」と、英国王室乱れてるな~なんて改めて思った。

まだ第4話までしか観てないので、今のところウィリアム王子が怒っていた「両親を歪曲」ってのは特に感じてない。ドラマ化しているんだろうけど、別にすごくバカにしたりひどい人間には描いてないと思うんだけど。この先どう思うか、今日も帰って観るのが待ち切れない(笑)

・・・・・残りも一気観してしまいましたが、はは~ん、後半の「ダイアナとチャールスの確執」が、ウィリアム王子が気に入らなかったところなのだなと思いました。

ざっくり言うと、チャールスは、既婚の女を好きになってしまったので、どうせ結婚はままならない(なんか、王室の人は再婚してはいけないというルールだか慣習があるらしい)。だからカミラと逢瀬を続けながらダイアナと結婚生活をうまくやろうとしていたが、ダイアナは愛されていないことが不満。で、ダイアナは摂食障害になり、子供に執着するようになる。また、ミーハーなダイアナにチャールスはウンザリなのだが、ダイアナはなんとかやり直そうとし、それがまたチャールスを萎えさせる。

みたいな感じなんだけど、多分実生活ではチャールスはいったんカミラをあきらめて、ダイアナのことが好きだった時期もあるハズなんだけど、映画ではチャールスはカミラしか愛していないようで、「そりゃダイアナ面白くないわな」と思う。

ダイアナが俗っぽいのはことさら強調されていて、チャールスの誕生日に自分が舞台に出てダンスし、そのせいでメディアが「チャールスの誕生日」じゃなくて「ダイアナが踊った」ともてはやす、チャールスはそういうダイアナ人気に食われることがそもそも気にくわないのに、ダイアナは注目されるのが大好き。で、次の年の誕生日は「みんなの前でやるのが嫌なら」と、自分で舞台で歌い演じているのをビデオに撮って、それをチャールスのお誕生日祝いのプレゼントにするというナルシスト振り!

こりゃ~チャールスもイヤだろうなあと思うけど、お前もうだうだ、カミラと別れないからダメなんだよ!と両方滑稽に見えるので、ウィリアム王子が怒るのも無理はないかも。まあ、第三者としては観ていて面白いけど。

他には、サッチャーの政策で失業率が上がり、貧困にあえぐ男がエリザベス2世に窮状を直接訴えたい、と寝室に侵入するのだけど、意外にあっさり入れちゃったという実際に起こったエピソードを描いていた。この男とエリザベス2世がどういう話をしたのかは分かってないらしくて、そこをあえて脚色したみたいに見えた。

あと、アパルトヘイトに英国王室が深く関わっていたってのは知らなかった。どうも、アフリカの貴族っていうか上流の人たちと英国王室は親交が深いらしく、アパルトヘイトを止めさせてくださいよ~って頼まれるんだけど、サッチャーは頑として協力しない。それをエリザベス2世があの手この手でやっとサインさせるんだけど、王室は政治に口出ししちゃいけない決まりなので、王室の広報?の人が責任取って辞めて、のちにこの人は政治スリラーの作家として成功したとか。

シーズン5と6は、エリザベス・デビッキがダイアナ妃を演じるらしいので、それも興味あるな。
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