ヒロシー

ザ・クラウン シーズン4のヒロシーのレビュー・感想・評価

ザ・クラウン シーズン4(2019年製作のドラマ)
4.5
二人のMVPにずっと魅了されていました。まず、ダイアナ役のエマ・コリン。久しぶりにヤバイ新人(ではないが)がやってきた。誰もが魅了される可憐なダイアナを1〜2話で見事に印象付け、そこから彼女が病んでいってしまう痛々しい姿も見事に演じ切った。彼女がいたら彼女しか見れないほどに輝いていたんじゃないでしょうか。最終話の写真撮影の悲痛な顔の痛々しいこと。次シーズンからはエリザベス・デビッキ様へとバトンタッチするようですが、ハードルがぐんと上がってしまいましたね。

そして見事に鉄の女・サッチャーをやってのけたジリアン・アンダーソン。初登場から穏やかに喋るので「おや?」と思っていると、その口調がどんどん威厳に満ち、声が厳しさと冷酷さを帯びていくのが凄い。私生活でも(首相なのに!)台所を仕切るほど保守思想を体現する彼女がイギリスを分断し、女王をも撹乱していくのはどこか痛快でもあり、ヴィランの一人と言ってもいい立ち位置でした。

かなりのシーンをチャールズとダイアナが破綻していく過程に割いているので、一番重苦しいシーズンでした。脚本も重く、これまで見られた鮮やかな切り口は減った印象。そして王室の皆様がどんどんこちらの理想からかけ離れていく。オリヴィア・コールマンの演技は『女王陛下のお気に入り』のこちらに感情移入させるようなものではなく、むしろ『フリーバッグ』の義母のような冷たさが印象的。フィリップ殿下はかなり出番が減っちゃった。最後に美味しいところ持っていったけど。
ヒロシー

ヒロシー