とぽとぽ

マスター・オブ・ゼロ シーズン2のとぽとぽのレビュー・感想・評価

4.5
前シーズンにも増して意欲的で野心的な作りに脱帽、感銘を受けた(自転車泥棒のパロディ、長回し、コラージュや群像劇的ストーリーテリング、自由な本編尺)。何でもゲームとかシチュエーションにする節があるけど、いかなる時もユーモアが大事(相手もノッてくれるかもあるけど)、魅力的で面白く場を和ませて♪そして前シーズンにも増した憂い、毎回終盤そこはかとなく漂う哀愁。会話劇でも退屈しない不思議さ、余裕のある演出と自然に練られた構図で都会やその街・店・建物の空気を映し出す。もはやコメディを人類社会学的観点から芸術の域にまで押し上げている職人技、圧倒的拘りがなせる世界観。街の魅力を余すことなく出して、まるでNYも登場人物のように(あるいは時間や季節の移り変わりすらも)。毎話毎話異なる観点から世界を切り取り、立ち止まり何かを考える機会を与えてくれるし余韻が心に棲み着く。心底洒落てるのだけど見た目だけじゃなく中身が伴ってる、それもすごく濃く深く。ジャンルレスの唯一無二さは揺るぎなく、愛さずにはいられないクリエイティブな輝きを放っている。
強いて言うなら主人公デフの仕事が楽に上手く行き過ぎてる感はヤキモチやく(人を引き寄せる魅力は分かるけど、だからこその最後のどんでん返し?)。9話アマルシ・ウン・ポ(と10話)のロマコメ王道コースに最高すぎてズルい。ある意味『ロスト・イン・トランスレーション』的孤独シチュエーションを利用して付け込んで。けど、おれのほうがフランチェスカ好きだからな、しかも1話目の時から好きだったからな(ちょっと自然体で魔性の女だけど)。だから主人公デフに感情移入する普通の視聴者大多数はここで主人公と彼女の間に何かあれって思うのだろうけどボクは素直に応援できなかった。「あなたと離れたくない」なんて言われたい、キスするなー!大逆転起こるなー!!ってムキになってた自分の小ささよ。こじつけで言うとデフには恋模様とかどこかが不完全で、ちょっと惨めくらいでいてもらわないと感情移入できないのかも。そしてボクはウキーっと怒るのでした。また響く選曲の秀逸さが胸を打つ、心に残るし沁みる。ズルいな~~
「悲しいのは嫌だ、幸せでいたい」
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