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ストレンジャー・シングス 未知の世界 シーズン2のTenKasSのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

シーズン1は足掛け三年という体たらくで見終えたのに、シーズン2は2日で見終えた上に、途中からドクターペッパーを飲みながら見てたので、だいぶ体に80s中毒映像が馴染んだと思う。

とりあえずめっちゃ古典的だったシーズン1に続きシーズン2もめっちゃ古典っぽい。
数々のフランチャイズ映画の二作目を軸に進む。基本としては完全に『帝国の逆襲』であり、ところどころ『エイリアン2』『ターミネーター2』だったりする。構造的に『帝国の逆襲』であることは、一作目の仲間が離散して同時並行で話が進む点、主な主題の一つとして、自らの出自に関するものが据えられている点、登場人物の三角関係と各々が向き合わなかった自己に向き合う自己言及的な点などで一致している。その上シーズン1でも散々言及されてたスパイネタや、あからさまなオマージュシーンも当然ながらある。一作目で一つしか出なかった怪物が増えて現れるのは『エイリアン2』、誰も信じてくれない嘘みたいな真実を信じさせたいという件は、『ターミネーター2』っぽい。画面的には廃バスが『マッドマックス2』的だったりするし、まぁ他にも色々ね…。そしてシーズン2の存在が当初から構想されていたかは別として、シーズン1に比べて視覚効果の点での大幅な向上があるというのも非常に「二作目」的。

 テーマ的には、「妥協」すなわちは大人になる上での精神的折り合いをなにかしらつけることがほぼ全登場人物に課され、それを克服するまでのこととしている。これはシーズン1と物語構造としては基本変わらない古典的な[均衡→不均衡→均衡]というプロセスを守っている。
シーズン1にあった手を繋ぐというモチーフは、勘違いやすれ違いを生み、登場人物を内省へと至らせる。人間関係のもつれは、相手と自分との違いを明白にして、自分という存在への自己言及に至らせる。そうして発生するのが、過去の問題。イレヴンなら出自、マイクならイレヴンとの関係、ウィルは裏世界とのつながり、ルーカスとダスティンは異性への興味だったりするが、ダスティンは女の子より化け物と折り合いをつけた印象が強い。スティーヴは自らの男性的な部分が危機に陥るし、ナンシーとジョナサンは本心と向き合う。署長はイレヴンと自分のなくした家族(シーズン1で割と克服してた)し、ジョイスは子離れ…という具合(複数課せられている人もいる。)
そうした傷と向き合うことが、最後にゲートを閉じる=過ちを修復する=傷を塞ぐといった映像的な形で結実したのは素直に良かった。

正直悪いことを言ってしまうと、ウィルの過去をセーラームーンRの劇場版みたいにみんなで振り返り話していく場面があざとくクローズアップだけで構成されていたときは、あまりにも駄目な邦画メソッド過ぎてみるのやめたくなったほどだった。それにマックスちゃんの扱いが微妙に雑で悲しいし、80s中毒すぎて飽きてくるし、何よりあのゲキダサ『ストリート・オブ・ファイヤー』軍団が一話冒頭で出てきたときの演出の酷さったら本当に酷い。
そして意外とルーザーを描いているようで、日陰者のバーバラやボブ、そしてパンク集団たちが報われないのはなぜだろう。
一応ジェンダーの観点や自分らしさ、変人の肯定によって現代的ではあるが…。意外とマチズモ的で、ピープルのための作品という感じはするようでしない気も。まあシーズン3もさっさとみたいです。はい。
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