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ストレンジャー・シングス 未知の世界 シーズン3のものレビュー・感想・評価

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アメリカのドラマがいかに考え抜かれているか

前作であばずれ感を出してしまったナンシーの軌道修正。
対して前作で見事人気キャラの仲間入りを果たしたスティーブはダスティンとの友情は継承しつつ新パートナーの登場でさらに好感度アップ。
エルとマックスというニューカップリングでローティーン組の一体感を増加させつつ、(ロビンも含め)ジェンダーに関する世論へのマッチング。
そしてなんといってもビリーは今作で最も注目を浴びることになったキャラクターだろう。

シーズン2とは異なり、新規キャラクターを最小限に抑えて既存キャラクターのチューンアップを図った感じ。

さらに今作で強く感じたのが「オタク」肯定

再登場のマレーは、元々ローティーン組がそのまま大人になったらこうなってしまう、というややネガティブイメージで提示されていたのをイメージチェンジして、有能で理解がありユーモアもあるキャラクターになっているし、同様にスミノフ(アレクセイ)も中身が子供のおっさんといったキャラクターだが、確実に視聴者の心を掴む働きを見せた。ホッパー、ジョイス、前作のボブなどアダルト組の割合「良識ある」描かれ方と対照的で面白い。
もちろんロビンとエリカも無視できない存在で、大活躍のダスティンを筆頭に「オタク」の肯定が色濃く出たシーズンと言えるのは間違いない。BTTF出してるぐらいだもん。

ただそれだけに終わらないのがよく考えられているところで、マイク、ルーカスらの(いろんな意味での)「卒業」が描かれているのが上手い。前作とのバランスをとってという面もあるだろうけど、この点でウィルの存在感が薄かったのは次作で期待されるところ。またここでも、ダスティンは「卒業」と「オタク」のハイブリッドに位置していて今作はダスティンのシーズンと言えるぐらいの優遇っぷり。

最後に、今作のテーマのひとつだった「親子」(あるいは「家族」)について

言わずもがなエルとホッパーが今作のストーリーの中心におり、それを波源として「親子」が諸所で機能していた。
ダスティンが家族旅行から戻ってくるのをはじめ、スティーブのセリフに父、母がワード単位でよく出てくるし、カレンもサブキャラクターとしてかなり良いポジションを取っていた。ヘザー・トムも数えていいかもしれない。バイヤーズ家は相変わらず。そしてビリーと彼の母、「親子」からはやや離れるがエリカとルーカス、マックスとビリーという関係性によって、初作から繋がれる「親子」の星座が現れる。おそらくこれは次作でさらなる広がりを見せるだろう。

以上のことなどから、シーズン3はシリーズものとして極めて完成度が高いと個人的に思う

何かを褒めるのに何かを貶すなというクソ食らえな考えを無視して述べるなら、こういったところで日本のコンテンツ力(特にテレビドラマ)の貧弱さが浮き彫りになる。
作るなら本気で、全力で、作れというのを見習って欲しい。
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