ウシュアイア

人間・失格〜たとえばぼくが死んだらのウシュアイアのレビュー・感想・評価

4.1
いじめによって子どもの命を奪われた父親の復讐劇。復讐によって人間性を失っていく父親を描いている。よく誤解されている。

出演者がKinki Kidsの二人から掲載されているが、主人公はお父ちゃん役の赤井英和。とはいえ、息子・誠の死亡までの序盤はKinki Kidsの二人が主役のようなもの。

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[あらすじ]
家庭環境から心が病んだ留加(堂本光一)は今どきの子に珍しいピュアな心をもつ転校生の誠(堂本剛)に惹かれる。

誠はクラス内のいじめられっ子をかばったことから、クラスのいじめの矛先が誠に向かい、しまいには留加は何者かに騙されて誠への憎悪を抱くことになり、いじめに加担することに。同じく、何者かの謀略により誠は体罰体育教師・宮崎(斉藤洋介)のターゲットになる。

誠の父・衛は息子を溺愛するものの、後妻(横山めぐみ)を迎えたことなどから誠との関係がぎくしゃくし、いじめられていた誠を結果として追い詰めてしまう。そんな中でも誠は衛と親子の絆を取り戻し、学校に登校した日、留加をはじめとするクラスの生徒に屋上に呼び出されて追い詰められ、屋上から飛び降りて命を落としてしまう。

そんな中、誠の葬儀の後、誠と遠距離交際をしていた子から誠の手紙を託される。衛は名前こそ書いていないものの、誠がいじめを苦にしていたことを知る。それとともに、衛の元に何者かから誠が宮崎から体罰を受けている様子をとらえた写真が送り付けられてくる。それを見た衛は、誠を追い詰めた者たちへ復讐を始める。
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※ちなみに誠の死亡は自殺、と書かれるあらすじをよく見かけるが、屋上で追い詰められての転落死。あのシーンもかなりの衝撃。

第1話では誠が転校してきたクラスで、うさぎ小屋のうさぎが血を抜かれて殺されるという事件から始まり、なかなかのイカレ具合だったが、さらに当時はあまり扱われていなかった突然のBL展開も然ることながら、故・斉藤洋介さんの体罰教師役があまりにも衝撃的だった。しばらくは何を観ても体罰教師役を思い出してしまっていた。

いじめの描写も壮絶。北乃きい主演のドラマ『ライフ』まで他のドラマのどんないじめ描写を観てもぬるいと感じてしまうほど。

黒幕は序盤から何となく分かっていたものの、とある理由から、誠のいじめを煽ったり、衛の復讐心を焚きつけたりとなかなかのクズというか変態で、子ども心にはちと刺激が強すぎるものがあった。

最終的には赤井英和さんの熱演で、親心とはどんなものか、というものを感じることができた。自分はレンタルで、親はリアタイで観ていたが、衛の気持ちがよくわかる、と言う親でよかったと思う。
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