Cisaraghi

フレンズのCisaraghiのレビュー・感想・評価

フレンズ(2002年製作のドラマ)
5.0
ウォンビン出演作の中で一番好きな作品。ウォンビン代表作のアジョシを差し置いてもフレンズを推す。

アジョシがウォンビン入魂の一作だとすれば、フレンズはまだ固い外皮に覆われていないウォンビンの無垢で無防備な魂に直に触れられるような貴重な作品だ。これが狙い通りの演技の賜物だとしたらそれはそれですごい。

ドラマとしてのツッコミどころは多いが、二人の初々しさ、純真さ、無心さの前に全部許せる。微笑ましい二人の恋をまわりが暖かく見守っている感じもいい。共演者の方々も皆さん品がよくて好感が持てる。

初の日韓合作ドラマだけあって、音楽がたいへんバリエーションに富んで丁寧に作られているのも素晴らしい。このドラマがこんなに好きなのは音楽の力によるところがかなり大きいと思う。

フレンズはウォンビン出演作のドラマ・映画 ( そもそも絶対数が少ない ) の中では他にない特色がいくつかある。

①比較的恵まれた育ちの温厚で気のいい好青年役。等身大の普通の大学生。長男で一人っ子。
②「イケメンキャラ設定」がされていない。
③恋愛ドラマとしては、役の上でも役者としても、相手に主導権がある。

①に関しては、非現実的だったり問題児だったり孤高だったりして、周囲や世間から浮いている役が多い中で、気取らない普通のいい人キャラというのが異色だ。日韓合作ドラマということで、日本人にも馴染みやすいキャラ設定がされたのかもしれない。
 それまで弟キャラで定着していたウォンビンにとって、出来のいい長男キャラも異例。このあと撮った映画2作も弟役。

②劇中でイケメン認定される、もしくはイケメンのレッテルを貼られて特別に扱われ、露骨にモテモテだったりカッコつけてたりして、そこに大なり小なりSが入っているのがここで言うイケメンキャラ。
 イケメンキャラ設定されていない作品は、母なる証明( 特殊な役 )、ガン&トークス ( コメディ ) 、ブラザーフッドだが、ブラザーフッドはそもそもチャン・ドンゴンとのイケメン兄弟が売りの作品なので外す。即ち、実質これだけみたいなものでは。Sっ気がほぼないのも珍しい。

③恋愛がらみでは、押しの強い役やツンデレの役が多いので、これも異色。ウォンビンをタメで扱える深キョン強い。ウォンビンの他の作品では見られない、非常に柔らかくていい表情が引き出されているのも深キョンが相手役だったからこそ、では。

ウォンビンのファンという以上にこのドラマのファンなのは、この3点による部分が大きいと思う。特に、イケメンキャラでは必然的に見られない、カッコつけず気取らず時にダサいくらいな自然体ウォンビンの多面的で豊かな表情が見られて、ウォンビンに親近感を感じられるのが非常によい。「ドウモー、ドウモー ( 日本語 ) 」とバスガイドのマネっ子するウォンビンとか、貴重過ぎるでしょ!しかし、カッコつけていないからこそ、ところどころハッとするようなウォンビンの無垢な美しさがかえって際立つ。

アジョシを見てウォンビンファンになったはずなのに、今アジョシを見ると、もうフレンズの頃の無邪気に笑うあの男の子はどこにもいないんだ…と喪失感を感じて何とも言えず切なくなる。あー、深キョンにカワイイと言われて怒っていたというあの頃のウォンビンが懐かしい。( 初めて見たの去年だけど…。)

ご本人としては恥ずかしくてあまり見返したくないドラマかもしれないが、こんなprivateで特定の相手にしか見せないような表情を演技で赤の他人に見せてくれるウォンビンという俳優、なかなか余人をもって代えがたいと思うので、是非早く俳優業に復帰して頂きたい。
 復帰作の相手役には再び深田恭子希望。あの頃の可憐さそのまま!に、美しい大人の女性になった深キョンと共演するなら今が時期的にベストだ。ウォンビンも40越えたとはいえ、まだ全然中年には見えない。でも、もうカワイイとは言われないだろうし、きっといい雰囲気の大人の恋が描けると思う。日韓合作ドラマ、アゲイン!
Cisaraghi

Cisaraghi