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ウエストワールド<ファースト・シーズン>のESRのレビュー・感想・評価

4.5
『ブラック・ミラー』にありそうな世界を膨らませた近未来SF×アンドロイド×西部劇。
ウエストワールドと呼ばれる、西部時代のアメリカが再現されたテーマパークが舞台。
そこでは人と見分けのつかないほど高精度のアンドロイド「ホスト」相手に、殺し・売春などイリーガルな行為も含めて、リアルな体験をすることができる。
「ホスト」は人間によってアンダーコントロールされており、決められたプロットに沿って動き、攻撃性能は制限され、殺される度に修繕され、記憶を消され、元のプロットに戻され、場合によっては廃棄される。
しかし、その中からプロットのループに気づき始めた個体が現れ…というストーリー。

全体として早いテンポで進むわけではないが、複数の視点から、またそれぞれの思惑を交錯させながら展開する。
とある人物の正体に関する叙述トリックは、見た目の変わらない「ホスト」やウエストワールドの特性を活かしている。
自らの記憶、アイデンティティだと思っていたものが、他者に植え付けられたものだと理解してからの「ホスト」たちの揺らぎや、行動を選択する心理描写が丁寧に描かれる。

人間以上の知能を持った「ホスト」に対して、どこまで人間の倫理を用いるのかという問題は、現実でそこまで技術が達するかはさておき、興味深い。

とにかくプロットや設定の作り込みが精巧で、壮大なSFスリラー。確かに難解さはあるが、それでも振り落とされずついていきたいと思わせる魅力がある。
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