LeiaK

ゲーム・オブ・スローンズ 最終章のLeiaKのレビュー・感想・評価

4.5
人は争い続けようと思えばどこまでも争い続けられるし、人が存在する限り争う理由は生まれ続けるという事。最終章から学ぶ教訓。

思い返せば序章から離ればなれになった兄妹たちは、物語の終盤まで再会することができず孤独な闘いを生き抜いたと思う。お互いの存命を願いながら強く成長しようやく再集結できた。そして目的を果たした彼らはまた、それぞれの道へ進んで行った。望んでそこへ行く者もいたし望まずしてそこへ行く者もいたし...心で繋がりながらもそれぞれが使命の待つ場所へ散ってしまう、それがスターク家の宿命なのかな...
私利私欲に振り回されないスターク家のように”良くできた人間”が世界の中枢を担っていれば、争い続けようとする人の暴走を止められるのかもしれない。

▼以下ネタバレ含む感想▼

鉄の玉座には誰も座らなかった。
このラストは潔くて清々しい。王座を目前にすると人は誰しもが欲深くなってしまうから。人間がキングスランディングの王に即位するのはもう数十年先でも良いのかもしれない。
傷を負ったあの国を統治するのにブランは相応しい存在だし、ティリオンの賢さは"王の手"に相応しい。
純粋なメンバーで構成された新議会の和やかさったら何たるや!!微笑ましい!!
ティリオンもあのメンバーの前では腹黒い策略を考える必要もなさそうで。笑
サムウェルは、この日のために今までの経験があったんだろうな... 彼はきっと世界を優しい方向へ導けるはず。だってジョンの親友だもの!

好きになるのに一番時間がかかったキャラがサンサ。兄妹のなかで誰よりも北を嫌い外へ出たがっていたサンサが、最後は誰よりも北を大切に思い女王に即位したことが感慨深い。
策略家たちに囲まれて成長したおかげか兄妹達のなかで誰よりも「本末転倒しない」選択をできる存在になったと思う。彼女はきっと北のティリオンになってくれるでしょう。笑

そして大好きなアリア。スカっとする復讐劇には何度も興奮させられた。
「Not today」こそエピソード3の代名詞。
まさかホワイトウォーカー戦の数日前にヴァリリア鋼を手に入れたアリアが、メリサンドルの預言したブライトキングだったとは...あれは最終章で一番の逆転劇!笑
兄妹たちと再会するまでに歩んだアリアの旅で、彼女にとって唯一の後ろ盾がハウンズだったように思う。2人の関係性は最後まで不思議だったけど、憎む以外に何も持たないハウンズが人生の最後にようやく「生かしたい存在」を見つけられたのかもしれない。
兄との決闘で死ぬつもりのハウンズをアリアはやっぱり止めなかったけど、2人の最後に交わした言葉が「死ぬな」「ありがとう」で終えられて良かったのではないでしょうか。

ジョンのラストは正直なところ、何とも言えない。ジョンは一番苦労してきたキャラだからこそ、ただただ、幸せにしてあげて欲しかったかなぁ… 脚本ミスだな。絶対。ジョンの塩エンディングは正直許せん。
そしてデナーリスも。最終章に入ってからいきなりクレイジーになったあの脚本にはめちゃくちゃ疑問が残る。手抜き感が否めない。他にも何かあっただろう!的な。
ただ、あのストーリー展開ではこの結末は仕方ないと納得してる。 家族同然のミッサンディとレイガルを失った時点でデナーリスの感情の爆発にはリーチが掛かっていたし。
だけど、それにしても衝撃的な暴挙に出ちゃったな、と。6章頃から暴君スイッチが入るシーンが描かれてきたから...これはラストへの伏線だったのかな。
(いや、単なる脚本ミスだな。絶対。)
結果として「権力から人々を解放する」という思想に憑りつかれた暴君へと豹変して、彼女の信念として口にしてきた「父とは違う」という事を逆証明してしまったようなラストに思えた。
ただ、ジョン以外の誰かに殺されることは絶対に許せないので、複雑な心境。

サーセイとジェイミーについて。
エピソード3のホワイトウォーカー戦に比べて呆気なく終わるキングスランディング戦。そしてあっけなくサーセイが退場。
サーセイの死ほど白々しいシーンはなかったし、今まで悲惨な死に方をしたキャラに比べると、この二人は犯した罪に比べて楽に死ねた方でしょ。
ジェイミーがサーセイに罪を着せて逃げることなく一緒に死ぬことを選んだとき、彼の本質が誠実であることを証明できたかと思います。びっくりするくらい何も悲しくなかったけど。
ただ、あんなに酷いことをされてもサーセイのためにまで涙を流せる、胸を痛めるティリオンの優しさが辛かった。

そういえば、占い師がサーセイに予言した「あなたは弟に殺される」ってやつ、ジェイミーとティリオンどっちのことだったんだろう?デナーリス軍を連れてきたティリオン?城から逃がしきれなかったジェイミー?

愛のためにはクズ極まりない行いをしてきたジェイミーだけど、"王の騎士"としてはかなり真っ当な決断をしてきたと私は思っている。なので、王の騎士であるジェイミーがブラエニーに騎士の称号を与えるシーンはけっこうウルっときた。
キングスナイトの意思はブランの側でこれからも受け継がれるし、ブラエニーという女性騎士の登場を見届けられて、これもまた感慨深かった。

最後にメリサンドルについて。
メリサンドルはドラマの序盤で「私はとっくに死ぬ準備ができているのに。使命がそうさせてくれない。」と言っていたのよね。
私は最終章を観るまで彼女の目的がずっと分からなかったのだけど、彼女は王位継承争いを引っ掻き回すために動き回っていたわけではなくて、世界の終わりを回避するためブライトキングを決戦の日まで導こうとしていただけだったのよね。それを理解したのは彼女が、ナイトキングの死を見届けてから自ら消失するシーンなんだけど。
メリサンドルの死は最終章で一番切ないお別れだった。彼女は悪いやつではなかったし、多くを救うために少しの犠牲で済む選択をしてきた、ただそれだけだった。

賛否両論あるとは思いますが。長年追いかけた物語の終着に、私のなかでも何かひと区切り着きました。ありがとう!
納得のいかないことは多々あるけど、ホワイトウォーカー戦でドラマ史に残るスゴイ物を観せて貰えた興奮が尾を引いてか、最終章には満足してます。
だってエピソード3こそGOTの我がクライマックスだから!!!

別のエンディングでやり直すと言われたら喜んで観るけどね。笑
LeiaK

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