明宏

ゲーム・オブ・スローンズ 最終章の明宏のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

73話の長い旅が終わった〜〜!
GOT面白かった。

s8の感想描く
待ち望んだウィンターフェルでのホワイトウォーカーとの戦いだった。映像迫力ある!ドラゴン同士の戦いカッコいい!人むちゃくちゃいる!という映像自体の満足度は高くて、死闘としか言えないゾンビども描写も容赦なくて良い。良いんだけど…
我々が観たかったバトルってこれなのか?もちろんゾンビとの死闘もドラゴン同士の空中戦も観たかったしありがとうなんだけど、なんでナイトキングとジョンの一騎打ちがない?なんでアリアが変装したりトリッキーな戦いを見せてくれるシーンがない?ジョラーがタリー家の剣をサムにパスしてホワイトウォーカーを殺すシーンがない?ブライエニーが間一髪やられそうなところをポドリックが助けるシーンがない?まずホワイトウォーカー自体が全然戦わないのはなんで?その上アリアが忍び寄る演出の1つくらいしておいてくれても良くない?
映像の迫力や死闘感みたいなものは凄いけど、メインキャラの長い長い物語を総決算してくれるような名バトルを観たかったのにな〜 そこがマジで残念。(全くやってないかというとそんなこともなく、ブライエニーとジェイミーが背中合わせで戦うシーンはある。どこからともなく登場したメリサンドルがドスラク人の剣に炎を灯すシーンはアガる、リアナ・モーモントが巨人の目玉刺すとこ😢)。
戦いを前にした緊張感や、戦いの後の好きな登場人物の戯れなど微笑ましくて良かったしそこは良く描けてたと思う。けど王都陥落でもアリアがブレーヴォスで身につけた超絶スキルを見せつけるシーンが無かったわけで、ナイトキングを倒したとは言え「アリアやべー!」とはならなかったからな。自分はジョジョみたいな知的なバトルが好きだから、ただ群れ対群れってだけの戦いに終始されるとちょっとテンション下がる。GOTの世界に戦略って概念そのものがほぼ無いんだよななぜか。ここで、知識や知恵こそがホワイトウォーカーとの戦いを制して七王国を救ったのだ!っていう展開が置かれてないとのちに王になる人物に納得できないぞ…

そのあとの王都陥落。5話でサーセイ側が降伏の鐘を鳴らしているのに、その上で非戦闘員である王都の民を焼き殺してしまう最悪の所業を行なったのが、今まであれだけ正しさを持ってして奴隷達を解放してきたデナーリスと同じ人物とは思えないんだよなー。民を盾にしたのはサーセイだって言うけども、サーセイだけを殺す方法だってあったはずよ。
一方で、デナーリス・ターガリエンという主人公にどんな結末を与えるのが正しいのかというのはとても難しい問題だと思った。デナーリスは王位継承権もあり、炎でも焼けないドラゴンの母として産まれながらエッソス大陸で散々な目にあってきた。彼女が三頭のドラゴンを手にして奴隷商人湾の奴隷を次々に解放していき、不遇な物への共感や正しさを持ってして奴隷商人湾の女王となったことで、この物語の中で圧倒的に軍事力を持ってして正しさを一方的に強要する主人公だった。
王位継承権を持ってして、でも境遇はとても悲惨、その上で他を圧倒するドラゴンという軍事力を持った主人公が正しさしえ維持したまま王都を陥落して玉座に座るっていう物語にするのはなんというか捻りがない。
力こそが国を治める唯一の道具であるっていう態度はやっぱり正しくない。
かといって、この物語が知をどれだけ重視してきた物語かというのもかなり疑問ではある。
知識の城であるシタデルを抜けてきたサムウェルが北部へ持ち帰った知識ってのはジョンに王位継承権があったことだけだし、全ての出来事を記憶して知覚出来るブランの能力そのものが和平の道を切り開いたわけではないよね?
ドラマのラストでこの平和な世界がやってきたのは結局のところ、北部からの脅威を死人を出しながらもドラゴンを含めた武力であり、王都の陥落さえもその9割9分をドラゴンの炎で実現してしまったわけで。
もちろん、残された人々はその大きすぎる力の行き先を見てしまったが故に知識こそがこの世界を統治するのに最も適している、という落ち着きどころだったというのは理解しているんだけども…つまり囚われたティリオンが考えていたことそのものを言いたいわけだけど、それでもじゃあサムやブランの知識が人々の平和に貢献できたって描写が少ないのは、長編シリーズのラストで視聴者を納得させることに関して痛手じゃない?と思ってしまう。

ブランが王に選ばれたシーン。7王国の諸侯達が疑問を挟まなかったけど、ブランの能力がどんなものでそれが七王国を束ねるのにどれだけ適したものかをあのティリオンの短い演説だけで理解できたとは思えないが。
ましてやグレイワーム率いるアンサリードなんてあのまま軍事力を維持したままもう一回王都陥落しにくるんじゃない?と思っちゃうけど…
落とし所としてブランが王になることには反対は無いし、知識を蓄え身体が不自由な人な人が王になることは弱者の気持ちを理解できるってことだし、正しいとは思うんだけどそれを物語で納得させて欲しかったというのが正直なところ。実際、ブランがブランのために弟を失ったミーラ・リードに対して自発的に感謝や慰めの言葉をかけることが無かったわけじゃん?人ならざるものに進化しちゃっててなおかつ人間の数々の愚行を全て知識としてるブランがいずれ全ての人間は存在する価値に値しないとか言い出してもおかしくないと思う。
ただ、大きすぎる力を持ってしまったデナーリス女王が王都に帰還した夜に甥であり恋人であり北部の王であるジョンに殺されて、ドラゴンによって死体が空へ運ばれてしまったというのは、終わってみればとても神話的で美しい悲劇にも見えてくるけれど。

王位継承権さえあったジョン・スノウがブラックキャッスルに戻って野人らを壁以北へ送り返すのはとても彼らしくて好き。ジョンスノウってみんなに好かれるけどこれといって癖のあるキャラクターじゃないし、こうして罪人として国の務めを誠実に果たすっていう主人公像は壮大な物語にたいして、とてもこじんまりと落ち着いてて良い。

シリーズ全体として、沢山の登場人の豊かな物語を見せてくれたGOTに感謝。
デナーリス女王とジョン王という2人の主人公がそれぞれ七王国から退場してしまったという終わりは、『氷と炎の歌』という神話が有りました…というつもりで受け取ってみるとロマンチックだなと思った。

ただただヤケになって静観するしかないサーセイとそこに現れたジェイミーのラストは驕れる者ひさしからずって感じの虚しさがあって良い場面。それにしてもこの名もなき民が容赦なく誰にも悲しまれずに死んでいく世界で「数万の無辜の民と小鬼の命なら悪くない交換だ」とちゃんと言ってくれるティリオンがこの世界にいてくれてよかった。最高だこのキャラクター。

s8は俺の推しキャラのジャクエン・フーガーとダーリオ・ナハーリスが1秒も出なかった。。。あとドーンの落とし子三姉妹も出てない!(3人とも死んだからそりゃそうなんだが…)
明宏

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