山岡

ARROW / アロー<フィフス・シーズン>の山岡のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

スターシティ市長となったオリバーが新たな敵、プロメテウスと戦うシーズン5。同時並行で進行してきたフラッシュバックも5年目ということで遂にS1のEP1に追いつく形となる、非常に重要なシーズン。

今回もこれまでのシーズンと同様に、現在のオリバーが抱える問題と、5年前のオリバーの行動が呼応する作りになっている。
今回の敵、プロメテウスはフードの男時代のオリバーに父親を殺された恨みを持つ復讐者。これまでの敵のように街を破壊したり征服者となることには興味がなく、ひたすらオリバーを個人攻撃してくる。彼の目的はオリバーを殺すことではなく、正義の味方のオリバーの底に眠る暴力性を浮き彫りにし、絶望を味あわせること。
一方、フラッシュバックではコンスタンティン・コバールとの対決を通じてオリバーの暴力性が開花し、アローへと変貌していく姿を描いている。
現在そしてアローになる前の両面からオリバーの危うさを描いている。
また、5年間続いたシリーズのフェイズ1の締め括りとして、22話からのプロメテウスとの最終決戦はリアンユー島が舞台となり、マルコムやナイッサ、スレイドまで、これまで出て来た重要キャラが集結する。さらにクロスオーバー回のEP8では(オリバーの夢の中で)両親が久々登場。S1から始まったオリバーの物語を改めて振り返り、一度終結するという意味の込められたシーズンであることは間違いない。

だがしかし、今シーズンではチームアローを一新しており、大量の新キャラクターが登場し、さらにクエンティンやテア、ディグルらお馴染みのキャラクターたちも、出たり入ったりを繰り返しており、完全にカオス状態となっている。各登場人物の状況把握や感情移入が間に合わず、正直なところドラマから置いてけぼりなる瞬間もあった。(『glee』シーズン4以降を見ているような感覚に近い。)新キャラクター達が沢山出てくるのは賑やかで結構だが、オリバーのヒーローとしてのルーツに迫る今シーズンのコンセプトとは食い合わせが悪いように感じた…重要なシーズンだったので非常に勿体ない。

余談だが、シーズン初期に出てきたチャーチが実は大ボスではなく、その後に本当の強敵であるプロメテウスが出てくる…という展開は、フラッシュS3のアルケミーとサビターの関係に似ている…正直、チャーチとプロメテウスも今までの敵よりかなり小粒で地味な印象が拭えない…あと、途中現れたビジランテという奴は一体何だったのか?正体が明かされないまま退場したので非常にモヤモヤする…。

とまあ、いろいろ文句を垂れ流してみたけど、ラスト2話の怒涛の展開は必見だし、ラストのド派手なクリフハンガーで余計なモヤモヤも全部ぶっ飛んでしまった。
山岡

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