tarupon

ウルフ・ホールのtaruponのレビュー・感想・評価

ウルフ・ホール(2015年製作のドラマ)
4.2
ヘンリー8世の時代、トマス・クロムウエル目線で、その台頭からアン・ブーリンの処刑までを描く。
マーク・ライランスのクロムウェルがまずよい。基本静かで感情を制御した姿だけれどその中に見え隠れする鉄のような意志と抑え込んだ情念、執着、家族への愛情。結構普通のおじさんなんだけど、思わずひきこまれてしまう、さすがです。
クロムウェル自身に対しては、ヘンリー8世の側近ぐらいの認識だったが、ウルジーを慕う気持ちがあんなにも強いとか、自身が実はプロテスタントの信仰を持つとか、実際の史実がどうなのかはわからないがすごく新鮮に感じた。
そして、マーク・ライランスのクロムウェルが静なら、その対極にあるのがクレア・フォイのアン・ブーリン。自分の目指すところに対する鉄のような意思、そのための障害は何をしても取り除くという気迫、気も強い。実際は姉のメアリの方が美人だった説を見たことがあるが、この中ではチャリィティー・ウエイクフィールド演じるメアリとは格が違いすぎるくらい圧倒的な迫力と美しさ。クレア・フォイは、ザ・クラウン、リトルドリットに続き私にとっては3作目だが、どれも好きな作品だし、全く違う魅力を見せてくれるのがすごいなぁって思う。
アン・ブーリンは衣装も素敵でした。そして、何より斬首の場面が最高。アン・ブーリンをあんなに誇り高くみせてくれるとは。
あと、脇ではクロムウェルの従者役だったトーマス・サングスター。クィーンズ・ギャンビットで見てラブ・アクチュアリーのあの子も大人になったなぁと思っていたけれど、ここでも存在感をだしておりました。

全体に緊迫したトーンと余白で感じさせるように作られていて面白かった。
今度は、トーマス・モア目線で描かれる「わが命つきるとも」をみてみたい。
tarupon

tarupon