逆鱗

ボクらを見る目の逆鱗のレビュー・感想・評価

ボクらを見る目(2019年製作のドラマ)
5.0
実話の冤罪で収監された5人の黒人少年の物語

1989年に実際に起きたセントラルパークをジョギングしている28歳の女性をレイプしたという容疑をかけられ、物的証拠皆無の中、強要された自白だけが証拠という杜撰な捜査と裁判の結果、冤罪にも関わらず収監された実話。
これは5点以外に付けようがない。

これを作品にしたNetflixの功績たるや素晴らしい。
しかも、オプラショーに演者と本人が登場して、役作りや当時の想いを語ってくれる動画も公開されているので、セットで見るべし!

極端なのは承知の上であえて書くが、Netflixこそ最も可処分時間を割くべき動画メディアではないかと思えた。

この作品が世界190ヵ国で同時に公開され、事件に無知であった日本の私にも刺さり、アメリカ社会の暗部について考え、30年前も今も根本は変わっていないのだと気付かされる。

スポンサーも無関係なので、制作陣は伝えたいことをストレートに表現できる。
監督は、自身はコメディもホラーもアクションも好きだが、この作品は社会への問題提起だとはっきり言っていた。


しかもオプラショーに出演した本人たちのコメントも観られるとは貴重である。

当時捜査の指揮を執っていた女性検察官に対してのコメントをオプラショーの中で求められたコリー(4人が少年刑務所だったのに対し、当時16歳だったため唯一成人刑務所に最初から収監された人物)は、許し難いがシステムの一部にすぎず深みにハマったのだろうという主旨の言葉を述べるところに涙した。

強姦者でかつ有名な事件の当事者はイジメの対象になるため、刑務所内で筆舌に尽くし難い暴力を受け、それを避けるために10数年自らの希望で独房に入った男は、一言も恨み節を述べないのである。

また、ケヴィンは、事件から30年ほど経った今でも、人種差別の酷さはあまり変わっていないと言う。

トロンは、妻と6人の子供に恵まれているが、当時の心の傷が癒えずに、今でも苦しんでいる。妻にはカウンセラーを勧められるが、断り、わざとあえて多忙にする事で余計なことを考えない様にしている。

全て実話なので、まさに心を抉られる体験であった。

あと演者の演技もスゴイ!
あまりみんな触れていないが、レイプ被害にあった女性役の女優さん、裁判で証人として自身の体調を語る時、「歩行が困難です...」と言いながら、なんとも言えない悲しい笑みをうっすらと浮かべる、ここで涙してしまった。
もちろん冤罪被害にあった5人を演じた役者さん、その家族を演じた役者さん、みんな好演ばかりだった。