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ボクらを見る目のmotoyAliveのレビュー・感想・評価

ボクらを見る目(2019年製作のドラマ)
4.7
Netflixリミテッドシリーズ。
セントラルパーク・ジョガー事件という全米を揺るがす冤罪事件を題材にした実話のドラマ。

《あらすじ》
1989年4月19日のセントラルパーク。ジョギングをしていた白人女性を強姦した罪で、5人の黒人とヒスパニックの少年が警察による強要された自白によって投獄される。そんな彼らの無実を勝ち取るまでの長きに渡る闘いが描かれる。

《感想》
セントラルパーク・ジョガー事件という悲劇を通して、冤罪を掛けられた少年とその家族を描いた作品。5人の少年と家族の様子がそれぞれの視点で丁寧に描かれていて、思わず感情移入せずにはいられない。冤罪を掛けられた本人は出所後も就職が難しかったりともちろん苦しく、その家族もレイピストの家族ということで差別を受ける。罪が晴れるまで一生レッテルが付き纏う苦しさが辛く感じた。

5人の少年の内の一人、コーリー役は『ムーンライト』でティーン時代のケヴィンを演じたジャレル・ジェローム。コーリーは年齢が16歳だったため、5人の中でただ一人少年院ではなく一般の刑務所に入れられる。そこでのコーリーの生活が壮絶で、投獄中の演技が見ている側も牢屋の中にいるかのような絶望感を味合わせてくれるもので、特に素晴らしかった。

こういった冤罪を引き起こしたのは人種による偏見や事件の早期解決にしか目がない警察と検察、そしてドラマの中でも出てくるトランプといった影響力のある実力者やマスコミによる扇動、それによって真実が見えなくなる世論というこの社会システムとその流れが悲劇を生み出してしまうわけで、とても考えさせられるものだった。

このドラマを通して、希望と信念を持ち続けることの難しさを感じるのと同時にそれを貫いた5人に心を動かされる必見の作品。オプラ・ウィンフリーによる関係者とのトークショーもあわせて見るのがおすすめ。
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