かずぽん

獄門島のかずぽんのレビュー・感想・評価

獄門島(2016年製作のドラマ)
3.0
【長谷川博己の金田一は過激】

(2016年・日本・119分・NHKのドラマ)
原作:横溝正史『獄門島』
脚本:喜安浩平
演出:吉田照幸

「獄門島」は、横溝作品の中でも人気作らしく、これまでに2度映画化されており、テレビドラマも5作品あるようだ。
私は、1977年の市川崑監督の「獄門島」(金田一は石坂浩二)を観ているのであらすじは知っており、「長谷川博己」が金田一をどのように演じるのだろうかと、そこに注目して観ることが出来た。

長谷川博己が演じる金田一耕助は、着物に袴、お釜帽子、古ぼけたスーツケースという出で立ちで、石坂浩二や古谷一行の金田一と見た目はそっくり。推理や思考に行き詰ったら頭を掻きむしるのも同じ。ちょっと都会的で活舌が良すぎるけれど、まずまず安心して観ていられた。
なのに、真犯人を突き止め、その真犯人相手に謎解きを披露し始めた途端、いつもの長谷川博己が前面に出てしまった。
相手(犯人)が第一の殺人事件の時にぼそりと呟いた「きちがいじゃが仕方がない。」の意味を自分は勘違いしてしまったと、自虐的になる金田一だったが、挙句の果てには犯人を罵倒し始める。
そして、金田一は高笑いの後、板の間に仰向けになって放心状態。真相を解き明かされ、故人の死に際の言葉に取り憑かれて犯行に及んだことを罵倒された犯人は、その場で息絶えてしまう。
今までの金田一のイメージと言えば、おっとりした人情派だったのに、長谷川博己の金田一は、感情的で過激だった。
さらに驚いたのは、事件解明後に世話になった鬼頭家を去る時に、鬼頭家の早苗(仲里依紗)に「一緒に島を出ませんか?」と誘ったことだった。それが今までの金田一らしくない(後ろ髪を引かれているように見える)雰囲気で言うものだから、ちょっと気になってしまった。
原作を読んだことがないので実際のところは分からないけれど、金田一は早苗に惹かれるものがあったように感じた。

本作は、三つの俳句を用いた見立て殺人。
「鶯の身をさかさまに初音かな 」(宝井其角)
「むざんやな冑の下のきりぎりす」(松尾芭蕉)
「一つ家に遊女も寝たり萩と月 」(松尾芭蕉)
という俳句に見立てて、本鬼頭家の三姉妹が次々に殺される。三姉妹で「きゃぴきゃぴ」している時には気が付かなかったが、三姉妹の一人“月代”を演じていたのは、当時18歳の堀田真由だった。

本作のラスト、島を離れる舟の上で、金田一が等々力警部からの電報を受け取る。「悪魔が来りて笛を吹く、助け請う」
あ~、次も是非、観なくては。でも、『悪魔が来りて笛を吹く』がNHKでドラマになるのは本作の2年後(2018年)で、金田一は長谷川博己から吉岡秀隆に交代している。
かずぽん

かずぽん