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私の名前はキムサムスンのayukoのネタバレレビュー・内容・結末

私の名前はキムサムスン(2005年製作のドラマ)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ヒョンビンの出世作で韓国ラブコメドラマの金字塔、視聴率50%越え(!)ということで、多大な期待をして鑑賞。

結果としては、良いところもたくさんあるけど、気になる箇所も多く、個人的には微妙!でした。

2005年のドラマで、私は存在を知りませんでしたが、韓国版「ブリジットジョーンズの日記」と当時言われ、日本にも第1次ヒョンビンブームが巻き起こったというドラマとのこと。

まず「ブリジットジョーンズの日記」がもう、大好物でした。世代的に「ブリジットジョーンズの日記」と「SEX and the CITY」が2大バイブルでした。今も、大好き! 少女漫画でいうと、ヒロイン像は「ハッピー・マニア」が近いかも? これまたバイブル!

共通項として、ヒロインに一般的に男受けしないであろう特徴があります。太っている、年をとっている、女子力が低い、酒に酔う、たばこを吸う、気が強い、男性経験が豊富、等。ちなみに、最後の2点以外の前半の特徴はそのまま、私です。(今も!笑)

そして、基本ヒロインは弱点により、もてないのですが、そんな彼女の弱点ごと好きになってくれる王子が現れる、という恋物語です。もう、ヒロインに自分を投影しちゃってますから、はまらずにいられようか!という構造です。

もちろん、それまでにも弱点を持ったヒロインは多かったと思います。例えば「貧乏」「地味」「美人じゃない」「男勝り」等。でも基本は「いい子」で、「逆境に負けずに頑張る」ヒロインが多かったんじゃないでしょうか。少しずつ、等身大のダメヒロインが増えてきた時代だったのかもしれません。

更に、それまでの韓国ドラマが「冬のソナタ」からの純愛・切ない系のメロドラマが主流だったとのこと。明るいタッチのラブコメとして、この作品は「病気、記憶喪失、実は兄妹とかもうお腹いっぱいなんですけど…」っていう視聴者に幅広く受け入れられたのではないかと想像します。

日本のトレンディドラマの影響も受けた、と書いてあるのも見ました。確かに言われてみると、オープニング、日本の90年代あたりのトレンディドラマっぽい雰囲気も感じました。

そんなわけで、このドラマの放映時、韓国では、「サムスンは私だ!」と感じた女性が多かったそうです。この作品自体は、当時の時代背景を考えると、韓国で衝撃を持って女性たちに支持された作品であり、韓国ラブコメの元祖になった作品、ということですよね。

時代背景を鑑みて、革新的な作品となったこと、ラブコメの元祖になったことは、素晴らしく、高い評価を受ける作品である事は納得です!

ただ、個人的には、結構気になる箇所が多かったです。

とりあえず、前半はとても好きでした。恋人に振られ、仕事もクビになり、結婚相談所に駆け込み、邪険な扱いを受けるヒロインを明るいタッチで描くあたりは見ていてとても楽しいです。ブリジットジョーンズのレニーゼルウィガーと同じく、役作りで7キロ太ったというキム・ソナさんも、顔立ちは綺麗だし、かわいらしくも見えました。

俺様なジノン(ヒョンビン)が、酔っ払いサムスンを介抱し、迷惑かけられるけど、気になってしまう、という展開や、親からお見合いを強要されているジノンと、実家の借金が発覚し、お金が必要になったサムスンが、契約恋愛をすることになる、という展開も良いです。ラブコメの王道、偽装恋愛・偽装結婚ものにハズレなし!w

その後の展開で、私が納得いかない点なのですが、まず、元彼女のキャラクターが最強すぎ。何でこんな最強キャラにしてしまったのか?

見た目もヒロインよりかわいいし、一途、優しいし、明るいし、頭も良さそう、ジノンの実家とも仲良くできる。超いい子!
欠点が見当たらず、彼女を待っていたジノンも一度は彼女とラブラブに戻ります。これでは、かわいすぎる元カノを応援してしまいたくなる。

更に、サムスンの難あり性格が、だんだん気になってきます。特に、何かあるとすぐキレて、「契約破棄だ!」「仕事辞める!」と言い放ってしまう場面が多い。本当に仕事も辞めてしまうし、このタイプの方、付き合ったり結婚しても、何かあるとすぐ「別れる!」「離婚する!」って大騒ぎしそうだし、地雷多めでちょっとウザい。

ジノンと付き合い始めた後、病気だった彼女をアメリカに見送りに行くのを「ダメ」と言い放つのもすごい性格してるなあ、と。気が強いっていうか、優しくないっていうか。まあ、結局は許すんですが、別れた彼女を送って行ったくらいで心変わりするなら、どうせそのうちするから、束縛しても無駄!と思ってしまう私でした。束縛女も、苦手、かなあ。

一体何故この最強の元カノより好きになったんだろう、という疑問がぬぐえなかったのでした。

ドラマでは、「恋愛感情の賞味期限は3年間」ということが描かれています。サムスンを選び、ジノンにふられた元彼女が「彼女を愛しているの?時がたてば、色あせてしまうわ。今の私たちみたいに」というようなセリフを言うシーンで、ジノンは「人は死ぬってわかってても生きるだろ」と言います。うーん、納得できるような、できないような。

つまり、今好きな彼女と一緒にいたい、ということですよね。未来は好きじゃなくなるかもしれないけど。と。まあ、それはそれで良いけど、その前にあんなにラブラブだった元彼女、ヨリを戻した時期は大好きだったように見えてしまっていたので、結構違和感なんですよね。

あそこからサムスンを選ぶに至る一発逆転の大事件が、あるんだろうと期待して見てしまったのですが、意外となかった。例えば、元カノとヨリを戻すけど、サムスンに比べて、おとなしくてケンカできないからつまんなかった、とか、庶民的じゃないから一緒に遊んでもつまらなかった、というような場面をもっと入れるとか。

または、もっとサムスンが仕事で優秀な結果を出すようなカッコいいシーンを出して惹かれるとか、もっと強力なライバル(例えばレストランのライバル会社の御曹司)が、サムスンを好きになって、心配になって自分の気持ちに気付く、とか? 恋するのに理由は無いってこと、なんですかね。

ラスト、結婚していない二人を見て、うーん、この二人そのうち別れるんじゃ。って思ってしまったのでした。

確かに、恋心、ときめきは長期間続かない、長年一緒にいると冷めてしまう、というテーマは、あると思います。現実はむしろ、そうだからね。

でも、ラストはやっぱり「この二人が末永く幸せになれて嬉しい!」って思わせないと! それでこそ、王道少女漫画のハッピーエンド!

まあ、幸せそうだったので、私が気にしすぎなのかもしれない。結局はサムスンのキャラクターがそこまで好きになれなかった、っていうことなのかもしれません。

という気にくわない点は置いておいて、ヒョンビンはかわいい! ピアノを弾くところ、お兄さんを亡くして心に傷を負っているところ、性格は全然違うけど、ジョンヒョクを思わせます。二人でピアノを弾くシーンも愛の不時着がこのドラマをオマージュしたとか?

数多の韓国ドラマの元祖となったであろうこの作品、やはり必見かとは思いました!

でも私はジノンに恋はしなかったです。
ジノンが一途じゃないから?かなあ。
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