えむえすぷらす

ブラック・アース・ライジングのえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

5.0
ルワンダ虐殺を背景に国際刑事裁判、国の威信・面子、記憶と忘却などを描くとてつもなく重い作品。

主人公ケイトはルワンダ虐殺の生き残り。家族を失った中で誰かに救われて英国人女性アシュリーが引き取って我が子として育てられ、ママの事務所でパラリーガル(だと思う)として勤めている。衝動的な彼女はルワンダ虐殺を止めた英雄の一人を告発する検事を引き受けた事に怒りをぶつけるが、思わぬ事が起きてしまう。
虐殺を止めようと奔走したルワンダのツチ軍人、アメリカ国務省幹部職員、英国法曹人たちはケイトの為にある事をお膳立てしようとして犠牲を払いつつ、ルワンダ虐殺を指揮したフツ側の人物を裁判にかけようと奔走するが、それは再建されたルワンダの大統領や顧問、虐殺時に関わりのあったフランスの威信、国益ななどと対立する茨の道だった。

事件を忘れて未来志向を希望するルワンダ大統領。事件を記憶にとどめて二度と繰り返さないようにしたいケイトたち。忘却と記憶の対立はここでも起きている。

ミニシリーズのため映画より尺が取られており、フランスとの対立、ルワンダ大統領との衝突など重層的にケイトを阻もうとしてくる。そして更にという仕掛けがあって五里霧中な状況の中で少し霧が晴れて状況が分かる。単なる解決を手にする事は出来ない。ただそのための道を切り開いたというような作品。

自分の理解に間違いもありそうなのでまた見直したい。

なおルワンダの現在の政治事情は実際の史実とは異なります。基本的にフィクションであり史実と大きな改変があるので注意(現大統領は2000年就任したポール・カガメ氏。長期政権化しておりドラマと同様に独裁ではないかとの指摘はある)。