なっこ

ミニチュア作家のなっこのレビュー・感想・評価

ミニチュア作家(2017年製作のドラマ)
2.9
フェルメール の絵のような世界。物語は、1686年まだ少女のようなヒロインがアムステルダムのある家に嫁ぐところから始まる。

フェルメールの絵は疑問作も含めて30数点しか現存しない。来日する全ての作品を見に行きいつかコンプリートしたいと密かに目論んでいる。日本にいながら全て見られる、そのぐらい人気の高い画家はフェルメールぐらいだと思う。なぜそれほど惹かれるのか、正直私にもわからない。でも、このドラマを見ていると、彼の作品を愛している人はきっと世界中にたくさんいて、今でも何か他の作品を創り出すインスピレーションを与え続けているのだと確信した。

良い絵には絶えず語りかけられるような魅力がある。あの窓の外にはどんな景色が広がっているんだろう。彼女が受け取った手紙にはどんなことが書かれているのだろうか。傍にいるあの召使いは一体何を考えているんだろう。いくつものstoryを想像させる。室内の一瞬の出来事を切り取った静止画なのに。たくさんの謎を提供してくれる。答えは自分で見つけるもの。ただ純粋に謎を楽しむために。

しかし、何よりこの物語で特徴的で存在感があり登場人物よりも雄弁なのは、実際に存在し作家にインスピレーションを与えた豪華なドールハウス。作家はこのドールハウスの語る物語に耳を澄ませ想像を膨らませたようだ。

冒頭では幼く頼りなげにみえたヒロインが1話の終わりでは衝撃的な事実を知らさせれる。そして2話の間に驚くほど精神的に成長し、この家の女主人としての存在感を放ち始める。そして、2話の終わりにまた衝撃の秘密を知る。さぁ、どうする。1話60分全3話で構成されるイギリスBBC制作のドラマ。続きが見たくなるうまい仕掛け。そして何より勇敢なヒロインに惹きつけられる。
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