スーパーヒーローもの、そしてそれが体現しているアメリカという国の風刺劇として最高。シーズン2はホームランダーとブッチャーの関係から父性や父権を浮かび上がらせつつ、ナチスという強大な悪を文字通りフルボッコにするカタルシスはタランティーノの「イングロリアスバスターズ」「デスプルーフ」に通ずるものがある。
アメリカのリーダーとして、不自然な金髪に星条旗マントを付け、マッチョイズムとナルシシズムの極みに達したホームランダーの滑稽さ。外側に敵を作り、アメリカンファーストを掲げるクソ野郎が、ラストで会社の屋上で恍惚の表情を浮かべる気持ちの悪さは、コロナに打ち勝った強さをアピールしようとマスクを付けずに登場した不快感と、確かに通ずるものがある。