ジェイコブ

ザ・ボーイズ シーズン2のジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ボーイズ シーズン2(2020年製作のドラマ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

スーパーヒーローが実在する現代の世界。アメリカはセブンと呼ばれる5人のスーパーヒーローによって守られ、ヒーローをプロデュースする巨大企業ヴォート社によって牛耳られていた。家電量販店で働く平凡な男ヒューイは、退屈な日々を過ごしていたが、恋人をセブンの一人、Aトレインによって殺されたことで、人生が一変する。失意にくれるヒューイのもとに、ヒーローを憎む男ブッチャーが現れる。一方、セブンには、スーパーヒーローに憧れ、日々鍛錬を積んでいた田舎出身の少女アニーが加わる。アニーはセブンに入り、世のため人の為に働く事を決意するが、彼女を待ち構えていたのは、辛く苦しいヒーローの現実だった……(S1)
ヴォート社の陰謀により、追われる身となったボーイズの面々。セブンのリーダー、ホームランダーの暴走は止まらず、ヴォートが隠していた息子のライアンの存在を見つけ出し、自分と同じように育てようとする。そして、メンバーの一人が死に、もう一人は脱退、さらに一人は、心臓発作で重体と、権威が揺らぐセブンに、新たなヒーロー、ストームフロントが加わる。歯に衣着せぬ発言と、奔放な性格で人気を博す彼女は、瞬く間に大衆を虜にしていった。しかし、彼女には絶対に知られてはならない裏の顔があった……。
Amazonスタジオ制作で、衝撃のアンチヒーロー作品としてその名が知られた本作。絶対的な正義感と清廉潔白が求められるスーパーヒーローだが、欲望のままに生き、また自らの心の弱さとコンプレックスに悩む姿は、既存のヒーロー作品よりも人間味を感じさせてくれる。
主人公ヒューイは、ヒーローに失望しつつも、心の奥底では、まだヒーローを信じたい気持ちを持っている視聴者の代理である。スターライトは、そんなヒューイや視聴者にとっての最後の希望、心の依代であり、命をかけても失いたくない存在なのである。だからこそヒューイは、裏切り者の汚名を着せられて捕まったスターライトを自殺行為と知りつつも助けに行った。
S2では、自らの欲望のままに生き、自分が世界の中心でなければ気が済まないホームランダ一に加え、ナチスの思想に傾倒し、大衆を扇動するストームフロントが極悪ヒーローの仲間に加わる。その最悪っぷりはホームランダ一も凌ぐレベルで、正に二人合わせてアメリカの闇そのものである。大衆を煽る演説シーンのストームフロントを、ドナルド・トランプに変えたとしても、しっくり当てはまってしまうのがまた恐ろしいところ。ストームフロントを倒すため、ヒューイとスターライトに協力したのが、S1の仇敵Aトレイン。やはりどの世界でもナチは嫌われるんだな(笑)
またS1では、いまいち見せ場がなかったクイーンメイヴだったが、S2のラストで、これぞヒーローという胸が熱くなるようなバトルを見せてくれる。スターライト、メイヴ、キミコによるストームフロントへのリンチは、タランティーノのデス・プルーフを彷彿とさせる。バトルで、ボーイズの男連中が引いて、遠巻きに眺める姿もまた滑稽で面白い(笑)
S3に期待を持てる終わり方をしてくれたため、楽しみに待ちたい。