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ザ・ボーイズ シーズン1のrollinのレビュー・感想・評価

ザ・ボーイズ シーズン1(2019年製作のドラマ)
5.0
僕のヒーローカンパニー

『Too Old to Die Young』に続いて、またしてもアマプラが傑作ドラマをリリースしました!!
映画やドラマ、日本の漫画でさえもスーパーヒーローにインベーションされている現状。「彼らが現実に存在したら?」という『ウォッチメン』or『SUPER!』のようなメタフィクション的構造は、いつの時代もテーマとして物凄く魅力的だし、MCUを筆頭にヒーロー映画全盛期と言える今だからこそ最高の風刺になる。

で、本作のモチベーションを担っているのが、セス・ローゲン&エヴァン・ゴールドバーグ+サイモン・ペッグのやんちゃおじさんチームで、(主人公の父親がサイモン・ペッグというだけで胸熱)昨今のヒーロー映画ブームに乗っかろうとして乗れない彼らの恨み節としても、自虐的で痛快。

冒頭のにせフラッシュの「ワリィ、今急いでるから!」シーンからして最高なんだけど、全体を通して最早露悪的を通り越したエクストリームな残酷表現が見事!どうせやるならここまでやらなあかんよね。
あと、トラウマを抱えた主人公ヒューイにつきまとう、あらゆる生活必需品のパッケージにプリントされたにせフラッシュの顔面とか、新人ヒロインの性接待とか、ジミー・キンメルLIVEとか、病気の子供への慰問とか、ハーレイ・ジョエル・オスメントとか、ユーモアを交えつつも、抜かりないリアリティ演出が良い。ブレイキング・バッドオマージュも正にこの作品のテーマとリンクしてるよね。

そして本作最高のキャラが、我らがジャッジ・ドレッドことカール・アーバン!!このビリー・ブッチャーが吐く台詞の皮肉度と脂の乗りっぷりが満点ぢゃ!!もうベニチオ・デル・トロじゃん笑
持たざる者たちが知恵を振り絞る&敵の能力を利用して戦うのも大好物過ぎ!
さらには、ゲス界のキャプテン・アメリカことホームランダーの小物感溢れる振る舞いもこのドラマの見所。コイツはまじで史上最低のヒーローやけど、キャラとしてはめちゃ魅力的。

政治やビジネスと結託し、担ぎ上げられた“上級国民”たちの罪が裁かれないなんて、今や他所の国の話じゃないよね。大義名分の元に、目先の不義から目を逸らす下衆なヒーロー。下衆じゃないから英雄なのに(透明になる奴の能力の使い方が一般人以下でウケるw)


ザ・ボーイズというシンプルなタイトルも良いよね。第一話冒頭の自分たちを守ってくれたヒーローたちを見つめる少年たちのまなざしと少年みたいなおっさんたち。あまりに膨張し過ぎたポップカルチャー業界、消費者層に対し、シニカルな視点から巨大な一石を投じる超傑作ドラマ!!!
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