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居酒屋もへじのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

居酒屋もへじ(2011年製作のドラマ)
3.8
米本平次(水谷豊)が切り盛りする居酒屋は常連客だけが集まる店で、看板もない。屋号も誰が言い出したのか、平次の名前から「もへじ」になった。出入りしているのは昔校長だった男(角野卓造)、町工場の社長(六平直政)、たい焼き屋(川﨑麻世)やミシン屋(松村雄基)といった地元の人間ばかり。料金も客の懐具合で、あるだけ払うという商売度外視の酒場だ。一方で平次は面倒見のいい性格から、身寄りのない子どもたちや、元客でいつの間にか店に居ついてしまった三郎(桂文珍)と一緒に生活していた。
そんな「もへじ」も店を始めてから20年。いつもの客が集まってお祝いをしようとした矢先、酔った女性がふらりと入ってきた。平次は陽子(松坂慶子)と名乗るその女性に常連客以外はお断りという店の事情を話し、丁寧にお引き取りを願うが、鼻の下を伸ばした校長たちが放っておかない。「一杯だけ」が重なり、いつの間にか陽子は酔いつぶれてしまう。
翌日、再び店にやって来た陽子は前夜のことを侘びる。酒代は不要だと平次が告げると、どうしても代金を受け取らないなら、「もへじ」で働くと言い出した。平次は、「冗談じゃない」と拒否するが、居候の三郎は大歓迎とOKを出してしまう。
ある日、平次は近所で喫茶店をやっている由亀(奈良岡朋子)に彼女のことを相談する。平次は、陽子が夫や息子を事故でなくした苦しみを抱えていることを知り受け入れる。
「とんぼ」の演出の清弘誠と脚本の黒土三男のコンビが、「渡る世間は鬼ばかり」のプロデューサー石井ふく子と組んだヒューマンコメディドラマ第I作。
一見さんお断りの居酒屋を営む平次が、居酒屋で巡り合う人と心寄せ合い支え合う人間模様が、メイン。
世知辛い世の中で傷みや苦しみを背負いながらも、居酒屋で楽しく呑む時間を生き甲斐にする常連客や居酒屋に飛び込んでくる人と平次の交流が、ベタベタな人情劇だけどほっこり心温まるし、松坂慶子演じる陽子と平次の淡い恋は「男はつらいよ」感があっていい感じのヒューマンコメディドラマ。
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