mimitakoyaki

アルゴンのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

アルゴン(2017年製作のドラマ)
3.9
放送局での上層部と現場の軋轢や、記者たちの奮闘と葛藤など、ニュース番組の裏側を描いた社会派ドラマでした。

これまでたくさんの韓国ドラマや映画で、メディアと政治の癒着が描かれてきたのを見ましたが、この作品でも、政界と財界の利権が絡んだ癒着によって起きた大事故などを、権力に怯まず記者たちが真実を追求しようとします。
しかし、放送局の上層部から圧力がかかり、様々な妨害をされるなどの凌ぎ合いがヒリヒリします。

日本でもニュース番組も新聞もほんとにつまらなくなって、今なら自民党の総裁選とかばっかりやってて、自民党の広報?って思う事も多く、世界各国の報道の自由度ランキングでは、日本は「記者が権力監視の役割を十分に果たす事は困難だ」ということで、67位になってましたよね。

国境なき記者団のコメントでは、菅義偉首相は2020年9月の首相就任以降、報道の自由の環境改善に向け何も対策をとっていないと批判し、特に、記者クラブ制度が、フリーランスのジャーナリストや外国人記者を差別していることや、特定秘密保護法についても批判しています。

日本ではもうすっかり構造自体が権力の監視というメディアの役割を果たせなくなっているってことなので、この作品見てたら、日本でも現場の記者がどんなに頑張っていても、それを握りつぶされて報道できないってことも多いのかななんて思いました。

ドラマでは、誰かひとりターゲットを作り、よってたかって非難や攻撃するメディアスクラムの問題や、過度な視聴率競争によって、他社よりいち速くスクープを出せるようにと裏を取らずに報道してしまう事で、誤報を生み出してしまう問題も描かれています。

また、報道する事で誰かが傷ついたり犠牲になる事もあり、真実を報道する事との兼ね合いの難しさや、真実に向き合う記者の葛藤も伝わってきました。

報道局でも非正規雇用の人が多く、大きな役割を担いながらも、待遇面で差がつけられていたりするのも日本と同じだなと思ったり。

若い派遣の女性記者が、はじめは番組内でなかなかみんなに受け入れられず、蔑ろにされたり、パワハラみたいな事もされたりして、こういうのイヤだなと思いながら見てたのですが、だんだんチームの掛け替えない一員となって、信頼関係ができていって良かったです。

チョンウヒが鍛えられて一人前のジャーナリストに成長していくのも良かったですし、韓国でこのドラマが最終回を迎えた1ヶ月後に亡くなったキムジュヒョクさんが、ほんとにかっこいいんですよね。
特に終盤の、自分の過去に向き合いながら誠実に正直にあろうとする姿にグッときました。

報道のあり方や、記者という仕事の大変さと大切さなどを描いた骨太作品でした。

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