天カス

マインドハンター シーズン1の天カスのレビュー・感想・評価

マインドハンター シーズン1(2017年製作のドラマ)
4.9
お話はサミュエル・フラーの『ショック集団』のようなミイラ取りがミイラになっちゃう系っぽく、テーマはジョゼフ・ロージー版の『M』などの、犯罪者がシステムのバグのように突発的に発生するのではなく、社会の軋轢の中で生まれた理由づけの可能なものであることを前提としたもの。近作だと『ジョーカー』とかありましたのでこのタイミングで見たの正解かも。

編集のリズム。ライティング。クロースアップの使い方。カメラの置き方。人物の配置。音楽の鳴らし方から効果音までサスペンスの醸成に寄与している。たびたび起こる音の氾濫(バーの中や空港、刑務所の中などの群衆の音)が特に印象的で、外の世界≒社会(シリアルキラーを生み出す) の存在を裏付けているかのよう。

独走を始めるホールデン・フォードのマチズモとその他のFBIメンバーの対比。

犯罪者の心を最も理解できるのはその捜査官であるというのはよく言われる話で『攻殻機動隊』の草薙素子と人形使いに代表されるようにフォードとケンパーは心を通わせるが、マチズモでカバーしきれない両者の決定的なズレが発露するシーズン1ラストは非常に良かった。ケンパーが「君と融合したい」と言わなくて良かったと心底思った。
草薙素子も自らの女性というアイデンティティ(素子は女性であるかもそもそも不明だが)をマチズモでカバーしていた。