深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ。
本作品鑑賞中、上記の言葉が想起させられた。
シリアルキラーの思考、性格、背景を調べ、殺人者の傾向を科学的に証明しようとする本作。
つまり、プロファイリングを確立させていく過程の物語である。
本作は、サイコサスペンスに類される作品だが残酷な描写が出てこない。
しかし、それでも十分に不気味な雰囲気に満ちている。
人の心に潜む闇や狂気を過剰な演出無しに徹底したリアリズムで描くことによって、不穏さや不気味さを醸し出していた。
その雰囲気を作り出す天才、それがデヴィッド・フィンチャーなのだと改めて思った。
また、本作の雰囲気は「セブン」よりも「ゾディアック」に近いと感じた。
作品の雰囲気以外にも、
作中で淡々と繰り広げられる会話の中に時折出てくる殺人者の狂気。
彼らと面会を繰り返す中で徐々に考え方が変化していくフォード。
それらの描き方も素晴らしかった。
ラストで現実を突きつけられたフォードや、バラバラになりかけているチームの今後が気になる。
早くシーズン2を見なければ‥。