茶一郎

マーベラス・ミセス・メイゼル シーズン1の茶一郎のレビュー・感想・評価

4.6
【短】2018年(第75回)ゴールデングローブ賞、ミュージカル
コメディ部門の作品賞・主演女優賞を獲得したコメディドラマ。1958年のニューヨークを舞台に、夫に捨てられたお嬢さんの主人公メイゼルがコメディアンを目指していく過程を描くドラマシリーズです。

 兎にも角にも、主人公メイゼルを演じるレイチェル・ブロズナハンがキュートで素晴らしい。『ハウス・オブ・カード』で売春婦レイチェルを演じていた頃が思い出せなくなる程に陽性で明るくて、キャッチーな演技を見せてくれます。
 ストーリーは男性優位の社会において健気に「女性性」を保ってきた主人公がある日を境に、男性に捨てられてしまうという悲劇。しかしメイゼルは自分の身に起きた悲劇をコメディという「笑い」に昇華していきます。このコメディ・笑いの形成の仕方が誠実でとても好ましいと思いました。
 ハリウッドの大物プロデューサーのセクハラが発覚した2017年、『ビッグ・リトル・ライズ』、『ゴッドレス』を皮切りに、女性が男性優位の社会で活躍するために奮闘するドラマシリーズが多かった印象ですが、今作こそ健気でいて、しなやかで弱くて強い女性主人公を真摯に描いた2017年を象徴する一本かもしれません。
茶一郎

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