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ワンダーラスト: 幸せになるためのセラピーのdojiのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

オープンマリッジを試す夫婦の話と思わせておいて、実は主人公であるジョイの過去の精算、トラウマの治癒に徐々にフォーカスがあてられていく。死の罪悪感から逃げるようにセックスしてしまうジョイの行動を紐解いていくエピソード5は特に力が入っていて、約1時間あまりセラピストとのセッションのみで繰り広げられる痛みの痕跡を辿るようなミステリーには、目を離せないほどのリアリティがあった。

間の取り方も独特な演出がとられていて、カップケーキを丸々4つ食べ終わりまで(途中で冷蔵庫から牛乳を取り出して飲む)、カットすることなく写す中で、ジョイが文字通りセッションでのやりとりや、さまざまなことを「咀嚼」していくことが示される。ほかにも、泣き出してしまうまでの声を詰まらせる時間、そこに漂う沈黙も含めて、作品の中に必要なピースとして組み込む手法には、ひとのこころの機微に寄り添おうとする演出家の意図を感じた。
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