Pam

高い城の男 シーズン1のPamのレビュー・感想・評価

高い城の男 シーズン1(2015年製作のドラマ)
4.5
第二次世界大戦が、ドイツによるDCへの原爆投下で終わっていたら。。

という仮想歴史小説のテレビドラマ化。あとから気がついたのですが、これリドリー・スコットがプロデューサーなんですね。面白いはずだわ。完成度高すぎっ!ハマった!!!!

そもそもこんな設定が今までの第2次世界大戦テーマのドラマや映画であったでしょうか?そうなんですよ。枢軸国であったドイツと日本がアメリカを占領している1962年。ドイツ帝国が東海岸を、大日本帝国が西海岸をアメリカを支配している設定なのです。そして米国人は敗戦の国の民として、日独に従うか、もしくはレジスタンスとして地下活動をしているのです。(そして中央部はニュートラルゾーンということで、両国が関与していない、昔の米国のまま)

これだけでワクワクドキドキしてきませんか?


私は今まで生まれてきていろいろな第2次世界大戦ネタの映画やドラマを見てきましたが、みんな日本軍ってCruelで、天皇万歳で、次何しだすかわからなくて、神風で。。。。なのですが、このドラマの設定の日本人ほど知恵があり平和を求めてる民族はいないのです。田上大臣も、皇太子妃も、意志があり、決して西洋人から見た訳のわからない日本人キャラではない。もうそれだけで嬉しくなるのです。もちろん憲兵隊などネガティブな大日本帝国的なキャラも存在しており、日本の立場を幅広く描写しています。

こういう歴史小説でいちばん大事なのは、「設定」であり、それをさりげない景色描写で描いているのもこのドラマを面白くしています。NYを中心としたナチス帝国が白人中心のレジスタンスの都会であるのならば、サンフランシスコの街の雰囲気の設定も忘れてはなりません。

今までの白人の下に黄色人種がいるのではなく、黄色人種である日本人が支配することにより、人種差別がほぼない。もうすでにこの時代から、黒人も身体障害者も差別がなくバスもみんな一緒に乗っているのです。これってある意味、超人権派でしょう?

ドイツとの連携をしてるがゆえのユダヤ人迫害はまだまだ続くのですが、日本人は「我が国ではユダヤの問題がないから、ほんとうはこういうことはしたくない」と言いながらするところにも、日本の意志が現れてたり。。。(ユダヤはこのドラマでも結構いじられてる。ユダヤを根絶させないと、彼らが世界を制覇するんだというセリフにぞっとする)

お話そのものよりも、歴史仮定小説なので設定のおもしろさにとりあえず心を奪われ、それからお話に入れるのが新鮮な驚き。エンタメとしてほんとうに久々楽しめた。ぜひともみてください!!!!
Pam

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