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トレース~科捜研の男~のこのレビュー・感想・評価

トレース~科捜研の男~(2019年製作のドラマ)
4.2
分析結果しか信じない科捜研の分析官と経験を重んじる叩き上げの刑事。
ありがちなフォーマットで、最初は反発しつつも徐々に信頼を寄せていく展開もご多分に漏れずなとこですが、こういうベタベタなのは好きです。
そして最終話、ワーストまではいかないけれどブービーくらいに想定も出来るし鬱な展開でしたが、いざ映像化されると興奮している自分がいて、、、でも、それはもう黒幕の心情と変わらないのかなとも思ったりして。
こんな気分にさせられるドラマはそうないなと思い、世間の評判よりも個人的な評価は高い作品でした。
最後の最後もああなるんだろうなとも思いましたがそうしたときのアフターストーリーの意味がよく分からなかったので完全に蛇足だと思った点を除けば大好きな作品として幕を閉じました。

錦戸さん演じる真野の役はもっととことん冷徹な方が作品とは合っているのでしょうが、随所で芯の優しさを感じ取られる雰囲気も素敵でした。
ストーリーも練り込まれていてなかなか感動します。殺人犯に同情してしまう展開は相当感情回路が複雑になって胸が苦しくなりがちですが、この作品はそれが多く個人的に好みでした。
他にも作品の雰囲気や劇伴とキャストの演技が既存のドラマと比較すると違和感覚えましたが、徐々にその気持ち悪さが心地良くなっていました。。笑

サブタイトルが他局の長寿ドラマに似ている、馬鹿の一つ覚えみたいにルミノールゴリ押し、怒鳴りすぎ、とか第一印象で評判を落としてしまったのが惜しまれるところです。

2話目以降、いろいろな分析方法や分析眼が駆使されている描写も多いので見応えはあるのでなおさら。。

追記
8話目
渋谷謙人はやっぱりやさぐれた人間演じたらトップクラスにいいですね。かなり涙腺のツボを点かれた一話でした。

9話目
和田正人さんの俳優としての魅力が感じ取られる一話。

10話目
長い伏線が本格的に回収され始める一話。
いろいろな結末の思案は浮かぶものの確実にこれだと言える確信もなく最終回が俄然楽しみになりました。

最終話
結論から言えば想定内でした。
ただ、想定してはいたものの月9ではやらないでしょう、とかの規定概念をどんどんと崩されていく感を筆頭に、それらが本当に映像化されていく過程で感動を覚えました。
そして、そこに感動を覚える自分って黒幕の薄っぺらい動機と何ら変わらないじゃん、というような自己嫌悪に至り、常に興奮している状態で楽しみました。
たぶん、視聴者の大多数がこの結末を予想していたか、あり得る範疇だと考えていたと思うのですが、いざ実践されたときに興奮しなかったんでしょうか。
個人的にはベクトルは違えどここ数年で指折りのエクスタシーを感じました。
例えるならば、セブンを観たときのような。

この作品を観て、この作品の原作や脚本の方々に今後も注目してみようと思いました。
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